2010年 ナイジェリアの労働事情

2010年10月8日 講演録

ナイジェリア労働会議(NLC)
オモラーラ・アビオドン・ポポーラ (Ms. Omolara Abiodun Popoola)

ラジオ・テレビ・劇場労働組合(RATTAWU)支部長 

 

1.組織概況

 ナイジェリアの労働情勢は、一般的に言って良い状況にあると言える。政府と労働組合の間に意見の相違があっても交渉が行われている。ナイジェリアにはナイジェリア労働会議(NCL)とナイジェリア労働組合会議(TUC)の2つのナショナルセンターがあり、双方が、労働者のために政府と交渉を行っている。交渉の目的は、組合員および労働者の労働条件と生活条件の向上である。NLCとTUCの両方とも、公共部門と民間部門の双方の労働者を組織している。

2.労働組合が当面している問題

 第1は、最低賃金引き上げの問題である。最低賃金に関し、政府とナショナルセンターのNLC及びTUCの間で基本的な最低賃金を1万8,000ナイラ(約120米ドル)にする合意が成立したが、実際には、残念なことに政府が実施しなかった。政府は1万7,000ナイラではどうかと提案してきたが、NLCとTUCは受け入れず、政府に対して21日間の猶予を与えた。労働組合は、その期限が切れる11月10日から3日間、ストを行うと宣言した。
大統領と労働組合が会合を持ち、政府側は少々時間がほしいと主張し、全国行政委員会にそれを付託した。全国行政委員会は、危機回避のため、労働組合の言うとおり1万8,000ナイラにしてはどうかと提案し、大統領も1万8,000ナイラに傾いている様子である。NLCとTUCは現在も、3日間のストに突入するという警告を出している状態である。
第2は、住宅計画の問題である。ナイジェリアの人口は現在、約1億5,000万人である。雇用状況は良いと言えるが、何しろ賃金が低いために住める値段の良い住宅が不足している。労働組合は政府に対して、公営住宅を建設して労働者がきちんとした住居に住めるようにしてほしいと要求している。
第3は、年金改革の問題である。ナイジェリアの年金制度は日本のように、労働者と使用者が毎月保険料を支払う。労働者が60歳になったとき、あるいは35年間働き続けた後、年金受給資格を得る。労働組合は、年金の保険料を徴収する役人、つまり年金基金行政官(PFA)が、貧困を根絶するため、年金受給者に対して年金の運用方法に関する適切な訓練や教育を行うよう要求している。
第4は、ディーセントワークアジェンダの問題である。1999年にディーセントワークについての議案が国会に提出された。現在2回目の審議が行われており、それが採択されると公聴会が行われ、その後に法律として制定される。ディーセントワークは、生活の安全保障、雇用や社会保障制度など、多様な問題を包含している。

3.課題解決のための労働組合の活動

 ナイジェリアは民主主義国であり、労働側と政府側が民主主義のルールに則って合意する。政府と組合は常に交渉を継続している。政府と労働組合が同じテーブルに着き、労働側が現在望んでいることを政府に対して要求し、政府側はそれに対して反論する。合意どおり実施されない場合、労働側はデモを行う。それでもうまくいかない場合は、ストライキを実施する。

4.労働組合と政府との関係

 ナイジェリア政府の中で労働者の権利や義務を管轄している省は、労働生産性省である。労働者に関する法律の施行や労働者に関わる事項は労働生産性省が中心に行っている。労働生産性省は、民間の労働者及び公務員の双方を管轄している。現在のところ、労働組合側と労働生産性省の関係は良好で、誠意あるものとなっている。そのほかには保健省と改革省が関連する問題を扱っている。

5.多国籍企業の現状

 ナイジェリアは天然資源が多く、人的資源にも恵まれている。現在、1億5,000万人の人口を擁しており、大きな人口による前進力、駆動力がある。
ナイジェリアには石油産業、通信産業、繊維産業等の分野で数多くの多国籍企業が存在し、ナイジェリアの経済発展に寄与してきた。しかし、中には社会的責任を果たさない多国籍企業もある。
石油産業部門には多くの多国籍企業がある。石油資源がたくさんあるナイジャデルタ地域では社会が不安定になっていると労働者が言っている。不安定というのは、労働に危険が伴い安全でなく、環境が危険にさらされ、生活が安定していないことを意味する。その状態は多国籍企業が社会的責任を果たしていないために起きている。ナイジャデルタ地域では、どこにも農業を行える土地がなく、水も飲めず、教育もきちんと受けられない状況にある。その地域の労働者を雇用せず、よそから労働者を連れて来るので、雇用も安定していない。ガスが地上から大量に噴き出し、この地域に安定した状態で住むことができない。
労働組合は、石油産業の多国籍企業に対して、若者の技術習得のための訓練を行うよう提案している。石油産業では様々なスキルが必要であり、若者を訓練、教育して、雇用をつくり出すことが重要である。政府と多国籍企業との間で話し合い、教育訓練機関や学校を作っていく必要がある。
私たちが多国籍企業に言いたいことは、利益が上がったら、それを再投資し、社会的責任を果たしてほしいということである。