2010年 ガーナの労働事情

2010年10月8日 講演録

ガーナ労働組合会議(GTUC)
エリザベス・アマ・デンヨー(Ms. Elizabeth Ama Denyoh)

医療サービス労働組合(HSWU) 青年・ジェンダー担当 

 

1.概況

 労働組合及び社会的保護は、ガーナの憲法や2003年労働法によって法的に保護されている。2003年に採択された労働法(651号)の第79条第1項は、フォーマルセクター及びインフォーマルセクターの全労働者に、経済的・社会的利益や権利の推進及び保護のために、自らの選択に基づく労働組合を結成する権利を与えている。
しかし、治安組織の関係者や軍、あるいは民兵組織の関係者は、この第79条の第2項により労働組合結成や加入を禁止されている。労働組合結成や加入に関係する労働者の権利を保障する法規定が存在するにも拘わらず、労働組合組織率は低下し続けている。
ガーナの労働者の大半、特にインフォーマル経済の労働者の所得は極めて低い。彼らは団体協約による保護の対象となっておらず、サービスを受ける条件を持ち合わせていない。
フォーマルセクターの組織労働者はガーナ全労働力の約10%であり、残りの90%はインフォーマル部門で雇用されている。
ガーナには現在、2つの主要な労働組合ナショナルセンターが存在する。ガーナ労働組合会議(GTUC)とガーナ労働者連盟(GFL)である。ガーナ労働組合会議(GTUC)は、現在18の加盟組織を有し、約50万人の労働者を組織している。18の加盟組織は主にフォーマルセクターを組織化しており、インフォーマルセクターの5つの団体に対して友好組織の資格を与えた。
ガーナ労働者連盟(GFL)には10の産業別組合が加盟し、組合員数は約1万人である。一方、これら2つのナショナルセンターに加盟していない多くの独立組織が存在する。

2.労働組合が現在直面する課題

 ガーナの労働組合が直面する課題として、同一産業同一職種同一賃金(Single Spine Salary Structure:SSSS)の導入問題、公共料金の値上げ、常用雇用労働者の臨時雇用労働者への転換、労働のアウトソーシング及び複数労働組合の問題が指摘できる。

3.労働組合の取り組み

 SSSSの導入とそれに関連する課題を提起するため、政府及び組織労働者の代表で構成される公平賃金俸給委員会(FWSC)の中に公務合同常設交渉委員会(PSJSNC)が設立され、同一産業同一職種同一賃金制度の導入及びその他の関連問題を扱うこととなった。
公共料金の値上げに関し、GTUCとその加盟組合は、2010年6月に発表された電気料金及び水道料金の天文学的な値上げを下方修正するよう公共料金規制委員会及び政府に対して要請した。
公共料金の急激な値上げに対する政府の介入により、GTUCの要求の中心であった住民層消費者に対する34.61%の削減が実現した。
労働の不安定化及びアウトソーシング化について、組織労働者は経営側に対して、2003年労働法(651号)の規定を確実に順守するよう強く働きかけを行っている。多くの労働組合は団体協約の中に労働の不安定化とアウトソーシング化の条文を盛り込んだ。いくつかの労働組合はこれらの問題を軽減する政策を策定している。
GTUCは、労働組合の多数性の問題に対処するため、すべての労働組合及び職能別労働団体を1つにまとめ、GTUCの組織運営の下に置き、労働問題を集団で提起できるよう努力している。

4.政府との関係

 GTUCと政府との関係は協調的で、良き協働関係にある。その理由はGTUCが国の発展の中で果たしている積極的な役割によるものである。労働諮問委員会、全国三者構成委員会、全国労働委員会、公平賃金俸給委員会を通じて今後も関係を続けていく。政府とナショナルセンターは、時として公共の利益における適切な問題は何かについて意見の不一致をみる場合もある。

5.多国籍企業問題及び労使紛争

 いくつかの多国籍企業においては、反労働組合的な態度が見られる。また、労働の不安定化やアウトソーシング化、不当労働行為、理由のない労働者の解雇や配置転換などの問題が生じている。
ガーナの多国籍企業の大半はココアの加工を行う企業であり、それらの企業は自由貿易区委員会の下で操業し、課税や労働組合設立から免除されていると考えている。しかし、ガーナの労働組合が行った調査によると、自由貿易区の企業に対し労働者の組織化や課税を免除する法律は存在しない。
多国籍企業の多くは、収益を最大化し、資本の所有者の利益を確保することを望んでいる。このため、労働者の組合加入や組合結成を直接的または間接的に阻害する経営者も存在する。こうした職場において労働組合の結成や労働組合への加入を望む労働者は、解雇や嫌がらせ、脅迫やそれ以外の脅しなど、行く手を阻む、難題や障害と対峙しなければならない。
しかし、多国籍企業の使用者の中には、外部の労働組合への加盟を許さず、企業内労働組合の結成を奨励し、労働者を管理して操ろうとする者もいる。最大限の利益を上げるため、より安価な労働力を求めて国から国へ転々とすることで名を馳せている企業もある。そういった企業は、労働組合が賃金、その他の労働条件について、企業が労働者に与える以上のものを要求すると頑なに信じている。こうした理由により、ガーナの多国籍企業の一部は、労働組合に対してはっきりノーと言っているが、これは労働者の憲法上の権利を明らかに侵害している。