2008年 ガーナの労働事情

2008年7月9日 講演録

ガーナ労働組合会議(GTUC)
フリーダ・ステファニ・フリンポン

公共事業労働組合事務局

 

 ガーナ労働組合会議(GTUC)は、ほとんどの主要産業をカバーする17の産別組織で構成されるガーナ最大のナショナルセンターである。組織人員数は約60万人である。
政労使の代表で構成される3者構成委員会が設置され、全国最低賃金などを決定している。
4年前に制定された労働法の下で労働組合の複数性が導入され、その影響で労働組合運動の影響力は相対的に弱体化した。1つの組織内で複数の労働組合が存在することが認められ、その中で最大の労働組合が団体交渉権を獲得し、すべての労働組合を代表して団体交渉に臨むことができるようになった。しかし労働組合結成の自由が行き過ぎると混乱が起こる可能性があり、業種により一定の線引きが行われている。
また民営化が進み、企業分割が行われ、更にグローバル化により、インフォーマルセクターが拡大した。
失業率は農村部、都市部ともに高く、特に青年の失業率は成年失業率の約2倍である。失業率は地域的にもバラツキが大きく、特に北部地域で高い。不完全就業率も特に農村部で高い。
貧困も政府発表とは異なり依然として広範に存在する。労働者の平均賃金は約2USドルで、貧困者とそうでない労働者の賃金格差は拡大しており、世界でも最も格差の大きい国の一つとみなされている。
社会的開発を無視した政策が原因でフォーマルセクターの雇用比率が縮小した。原因は1980年代、90年代、更に2006年に国際通貨基金(IMF)や世界銀行の指導による構造調整政策の下で行われた公共部門の大量解雇である。
このような情勢の下にありながらも、2年前に比べて労使関係は現在のところ平和と協調の下で比較的に安定している。しかし労働法で不可欠業務と定義されている部門で紛争解決手続きという名目でストライキ権が大なり小なり制限されてきている。
また2006年に導入が決定された単一賃金表(single spine salary structure)の実施が遅れていることで公共部門の労働者に不満が高っている。さらに最近のガソリンや食料品の高騰、生計費の高騰で国民の不満が広がっている。
労働組合複数主義の導入により労働組合は影響を受け、組織人員の減少を招いている。現在の大きな挑戦は青年の組織化と言える。
ガーナ労働組合会議(GTUC)は労働組合の力を強めるために労働組合の統合を主張している。そのための戦略的計画として組織の発展、組織化、再編成、国際関係の強化、教育訓練、調査政策の強化などを掲げている。未加盟の小組織に対してメーデー参加の勧誘、国際労働組合組織への加盟や政府の審議会への参加などへの呼びかけを通じて労働組合の統合を呼びかけている。
政府との関係は比較的に落ち着いてはいるが、今年の12月には総選挙が予定されており、諸物価の高騰、格差の拡大などで、これまで8年続いてきた政府がどうなるか分からず、国内には緊張が高まっている。
グローバル化に対してGTUCは全般的にグローバル化を受け入れる姿勢である。しかしガーナに入ってくる外国企業に対抗して自国企業を守る観点から政府と話し合い、運動を展開している。