2000年 ガーナの労働事情

2000年8月2日 講演録

サミュエルメンサー・ニャコー
公共サービス労働者組合委員長兼TUC -GHANA 中央執行委員

 

TUC -GHANA の紹介

 私はガーナ労働組合会議に所属して、公共サービス労働者組合の委員長をしております。私が最初に選出されましたのが1995 年で、1999 年に再選されております。また同時に、ガーナの国営放送局で北部を担当するPR の仕事もしております。
私が委員長を務めているこの組合ですが、公共サービス労働者組合ですから、もちろん公共のセクターに従事している人たちを組織し、約3 万人です。構成する組合の中には、私が所属をしているガーナ国営放送局、国税局・国税庁、監査を行う監査局、航空局といった公共の部門に携わっている人たちが仕事をしている組合があります。また、ガーナ労働組合会議の中では、この公共サービス労働者組合というのは3 番目に大きな規模を誇る組合です。
簡単に、このナショナルセンターTUC -GHANA の沿革を申し上げますと、ガーナのTUC が設立されたのが1945 年、前身はゴールドコースト・トレードユニオン・コングレスと呼ばれているものですが、それ以前にも、1930 年代初頭には既に労働組合というものがガーナでは設立されていました。以降、1941 年に組合の登録をするための法律などができ、労働組合に関する条例が1941 年から施行されています。
ナショナルセンターの組合員の規模は当初6,000 人程度でスタートし、今は幹部もしくは役員の組織化活動の結果として50 万人までに膨れ上がっております。このTUC の機構・組織ですが、もちろん中央執行委員会というものがあります。また、そのもとで地方別の評議会、そして一番末端のほうに地域別の評議会があります。この一番下にありますdistrictcouncil (地域評議会)は110 あります。
前回の大会で決定されたことですが、TUC はある特定の政治活動もしくは政党を支持するということはしないということになりました。いわゆる党派を超えた形での活動をするということで、組合の中で、特定の政治もしくは政党を活発に支持する活動はしないということを決めています。また同時に、教育、政治、社会、またジェンダー、国際的な問題、組織拡大、労働企業信託に関しても、採択しております。労働企業信託とは、銀行や保険会社あるいは運輸・通商といったものを行うための信託で、これが設立されたわけです。この信託の財源に関しては、労働者自身からその資本を集めることで財源を確保しております。この信託はLET と呼ばれ、今は約70 億セビの財源があり、きちんとした形で投資されております。また、ユニークという名前のついた保険会社があり、この保険会社の設立に関しては、日本の労働組合からの支援をいただいており、日本の皆様からご支援をいただいたことを非常に感謝しております。似たような形で労働者のための活動できる機関の設立を考えております。
IMF (国際通貨基金)の条件が厳しいことにより、多くの労働者がその職を失うという状況が起きています。また同時に、グローバリゼーションということが私どもの国内での産業に大きな影響を与えており、やはり中には、職場を失って自宅待機の人も多くいます。TUC としては、4 年ごとの大会を今年の9 月に開くことにしており、既に規約に基づいた委員会があり、そこで組合、ナショナルセンターとしての規約、そして内部のルール・規則が採択されております。この大会では、役員を選出することが意図とされているわけですけれども、歴史上初めて副委員長、いわゆる第2 委員長を選出することになっています。第2 委員長は女性でなければいけません。

国内状況

 ガーナの政治的な状況に関してですが、ガーナにおいては、大統領をトップとする政府があり、複数の政党の参加が基本となっています。大統領選挙、そして議会の選挙は、次回は2000 年、今年の12 月に行われます。政党はそれぞれの大統領選への候補者を既に選出しており、地方では幹部会が開かれ、議会選挙への候補者選びも行われております。そういった意味では、選挙が近いということで、国内さまざまな個所で政治活動が非常に活発に行われています。経済的な状況に関して申し上げますと、ガーナは世界銀行、またIMF の政策を採択しております。ただし、これは結果として、やはり国民がかなり苦しむという事態も招いております。物価も、それからインフレ率も高く、失業率も高い状況にあります。ガーナにとっての主要な収入源はココア─カカオ豆ですが、カカオ豆の値段が国際市場では下落しております。そのため、ガーナ政府はコートジボアール、もしくはナイジェリアと同様に、カカオ豆を焼却することを検討しているところであります。また、VAT (付加価値税)ですが、これも10 %から12.5 %に引き上げられ、やはり労働者にとっては非常に厳しい状況をもたらしております。そこで、政府に対してこういった状況を何とかしてほしいと、組合、そして組合員がデモを行っています。また、新しい最低賃金に関して、政府とTUC が合意を見られなかったという状況がありますので、私が日本に来る前、ちょうど7 月25 日には、労働者が全国規模での、これは平和的なものでしたけれども全国規模でのデモを行っています。最終的には、最低賃金が妥結したようですので、それに関しての数字などはJILAF の皆さんに資料として活用していただくべく差し上げたいと思います。