1999年 ガーナの労働事情

1999年6月16日 講演録

ショセフィン・アバカ
ガーナ労働組合会議(TUC-GHANA) 上級管理スタッフ

 

状況

 ガーナはアフリカの一地域にあり、人口は1,850万人です。人口は年間3%の成長率で増えています。人口の48%は若者です。ガーナの文化の特徴は、一つの格言であらわされています。「ガーナ流もてなし」といいます。私たちは非常に豊かな色彩感覚を持っていて、それが我々の文化をある意味であらわしていると言うことができます。普通のガーナの人たちは、大変控えめな服装をしています。というのは、ガーナでは服装はその人をあらわすと言われていますので、大変控えめな服装をしています。
一つの言語というのはありませんが、幾つかの言葉が言語群をつくっていて、その言語群に属しているある地域に住んでいる人たちの間ではコミュニケーションが成り立ちます。次に、労働人口について、1997年の統計で830万人です。そのうち51%は女性です。毎年新しく21万人が労働力人口に加わります。つまり3%の人口増加です。構成比の11%が15-19歳の間の人たち、54%が15~34歳の間の年齢です。

組合の改革

 今年1999年3月2日に、TUC-Gは新しい規約を採択しました。ガーナ労働組合会議、TUCガーナは、ガーナのナショナルセンターであり、17の加盟組合が属しています。
ナショナルセンターとしてのTUC-Gは、新しい改革として、副委員長を1人増やしました。事務局長は1人、委員長が1人、そして副委員長も1人だったのをもう1人増やして、第1副委員長と第2副委員長にしました。そして第2副委員長の席は女性専用になっています。第2副委員長の席に立候補できるのは女性だけです。第1副委員長の席に関しては、女性でも男性でも立候補できます。
ガーナ労働組合会議(TUC-G)の最高機関というのは大会になります。その次の重要な機関が執行委員会になります。もっと女性を登用しようということで、今までは5人だった女性代表、その一人一人が2つの地域を代表していたのですが、今年度、1地域1人の女性代表を選ぶことになりました。全部で10の地域がありますので、10人になります。
この第2副委員長という席は、ガーナ労働組合会議の機構の中で、どこでもその副委員長という席があるところには、必ずもう1人つけ加えて、第2副委員長の席をつくりました。以前は事務局となっていましたが、それを機構改革で運営委員会としました。
さらに新しくつけ加えた機関として、先ほどは執行委員会、今度はエグゼフティブ・コミテイ、これが新しく加わり、それには選挙で選出された女性が必ず加わることになっています。
今度新しく、労働企業信託基金持ち株会社のようなものをつくりました。その目的というのは、ガーナ労働組合会議の組合員がたくさん解雇をされているので、その人たちのために新しく仕事をつくり出すために、その基金をいろいろな事業に使うということです。
私たちは、日本の全労済からいろいろな支援を受けています。今度もその労働企業信託基金をつくるときにも、全労済が援助してくれました。そして、新しく保険会社をつくって、そのなまえをユニーク保険としました。
ほかにもいろいろな投資を行っています。その1つが駐車場計画です。この駐車場は電動で運営している駐車場です。そのほかにもいろいろ投資しました。
1つ、非常に興味深い奇妙なことが起こっています。それは、TUC-Gの加盟組合の一つであるガーナ鉱山労働組合の1つの支部があり、それはプレスティア金山の労働者でつくられている支部です。その金山を政府が閉鎖しようとしましたが、組合が乗り出して、その権利を買いました。今では組合と経営側とが一緒になってこの金山を経営しています。これに関しては、ガーナの副大統領がさまざまな援助をしてくださって、組合がよくやっているとも言われています。
このプレスティア金山ですが、今はプレスディア金資源会社と名前が変わっています。ここは非常に経営状況がよくなっていて、政府も褒めています。JILAFではいろいろな人材開発事業を援助しているとのことですが、それを考えられる場合には、我々のこのユニーク保険とプラスディア金資源会社のことを少し考慮していただきたいと思います。組合がいろいろなチャレンジをし、それに対応して、いろいろなプロジェクトを行っていることを、人的資源開発計画の中で考えていただければと思います。組合のために大変利益になることです。このように組合がしっかり行うと、政府もまた組合に対していろいろな援助をするということがあると思います。

労使関係について現状と問題

 労使関係で使の正義には政府も入ります。政府は政府としての役割と、もう1つ、公務員を雇っています。使用者としての役割もあり、2つの役割を持っていて、それから、それとは別に経営者団体もあります。それから、労働のほうはTUC-Gが代表しています。あらゆる労働の局面において、TUC-Gが代表しているということ。それで労使関係がなりたっています。
労使関係に関して、その3者の協議機関が全国レベルであります。その取り上げる議題は、最低賃金、経済問題、生産性、その他労働に関するさまざまな課題を協議しています。問題によっては協議するものと、共同決定を行うものと、両方あります。
労働の局面で新しいことがいろいろ起こっています。その1つは、グローバル化のもとで行われている構造調整計画(SAP)に関するものです。3つの社会パートナー、つまり政労使は3者とも、現行の労働法を改革する必要がある、再検討する必要があるということでは意見が一致しています。
再検討の必要があるという理由ですが、労働に関するさまざまなインストルメント、規約なども含めた文書ですが、それがあちこちに散らばって存在してます。1つの法律に統合されていません。例えば会社の中で使われている規約もこの中に含まれています。散在してはいけないということ、そしてまた、存在する法律の中には、かなり旧式になったものがあります。
ILOは1つの組織に統一するのではなくて、複数化するようにと勧告を行っています。ところが、今まではガーナではTUCが唯一のナショナルセンターでした。そこで、今年の4月13日に別の新しいナショナルセンターが結成されて、これをガーナ労働連盟と呼んでいます。その加盟組織は、繊維、医療、皮革労働組合、宝くじ労働組合などです。以前はこの繊維、医療、皮革も宝くじ労働組合もTUCの加盟組合でしたが、新しくナショナルセンターができることになって、新しいナショナルセンターの加盟組合を結成しました。
1965年の法律299号では、TUCが唯一のナショナルセンターとして認められていました。しかし、今度新しく別のセンターができたので、現行の法律は現在の状況を反映していないということで、これは再検討の必要があることになりました。
法律に関する1つの例ですが、現在、労働争議が起こったときの解決方法として、通常の手続では労使間の協議がうまくいかなかったときには、雇用社会福祉大臣が強制的に2つの当事者同士の労使を召還して、強制的な仲裁裁定を行うことになっています。しかし、このやり方は人権に反するのではないか、強制的ではなくて、自主的にやるべきではないかということで、法改正がまた考えられています。
先ほどの大臣ですが、争議の当事者を召還して、仲裁裁定を発行することになります。仲裁裁定が一たん出てしまうと、その拘束力があって、最終決定なってしまいます。つまり不満でもストをすることができなくなります。これは人権に反するのではないか、人権侵害ではないかということになりました。
そこで現在、法改正をしよう、改革をしようということになり、社会パートナー3者、政労使が一緒になって協議をしました。そして、別の独立した労働法を検討するための会議というものつくりました。その中で新しい労働法案をつくり、それを議会に出して、議会でもし通れば、それが有効な新しい労働法になります。
現在、ガーナ労働組合会議が当面している大きな挑戦ですが、それは構造調整計画(SAP)と非常に関連GAPがあります。構造調整計画によって政府は多くの会社を民営化しました。その結果、多くの我々の組合員が職を失いました。一たん職を失ったら、当然組合員でいることもできませんし、もちろん組合費も払えなくなります。
それからもう1つの課題、チャレンジですが、それは経済のグローバル化と関係があります。私たちはこれを貿易自由化と呼んでいます。これもやはりSAPに伴って行われていることです。貿易の自由化があると、国内企業は市場で競争力がないので競争ができません。国内企業が閉鎖されるということになります。そうすると、当然我々の組合員に職を失うという点で影響が出てきます。ですから、組合費を払う人が少なくなるということで、間接的に、ガーナ労働組合会議が財政面で悪い影響を受けることになります。
それから、組合員の能力育成が必要ですが、それをするための資源が不足していて、会社がいろいろな形で変わっていっています。例えばアウトソーシング(外注化)をするというようなことがあります。それから、会社に問題が起きたとき、さっきのプレスディア金山などのような場合には、労働者と経営者が一緒になってその会社を買い上げ、そして、自分たちでその会社を経営することもしなければなりません。そのためには組合員、労働者の能力を高めなければなりません。
外注しても、そこで働いている人を解雇するのではなくて、そこを組合員たちで経営してしまうことです。ですから、そのようないろいろな会社の経営形態が変わっていったときに、労働組合員が能力を持って経営できるようにしなければいけない。そのための教育訓練が必要ですが、財源が不足しています。