2011年 コンゴ民主共和国の労働事情

2011年11月11日 講演録

コンゴ民主共和国全国労働組合(UNTC)
Mr. ギー・ペンべレ・キソカ

 

1. 労働事情(全般)

 人口の50%が就労しており、その90%はインフォーマル部門に分類される。そして、これらの労働者は社会保障制度の対象外となっている。コンゴ民主共和国は2つの戦争を経験し、国の経済は大きなダメージを受けた。経済が破綻した状況の中で、国民は日々の生活に追われ、路上商店を営んで生計を立てている現状である。

2. 労働組合が現在直面している課題

 第1に、5年前、政府、使用者、労働者の間で最低賃金が規定されたにもかかわらず、多くの企業が非常に低い最低賃金の支払いですら遵守せず、深刻な問題となっている。ILO144条が批准されているにもかかわらず、政府、使用者、労働者の代表による真の社会対話が欠如しているというのが現状である。
第2に、労働組合数の増加が大きな問題となっている。コンゴ民主共和国では、労働省から認可されている労働組合が400以上もあり、その中には組合員が2~3人で、正式な事務所もなく、代表者の鞄の中のパソコンが組合の全てということもある。
第3に、公務員の汚職も大変深刻な問題になっている。また、汚職の影響で、半年間あるいは1年間に渡り、公務員の賃金が不払いの状況が続いている。
また、法律によって2002年に労働裁判所が設置されたが、実質的には全く機能していない。コンゴ民主共和国では下請けが多く重層構造の中で、実際の労使関係が全く見えないというのが現状である。
第4に、人権侵害及び労働組合権の侵害も深刻である。コンゴ民主共和国ではILO87条、98号条約が批准されているにもかかわらず、公務員に対する賃金の不払いあるいは労働組合役員に対する労働組合活動の禁止等が横行している。実際に組合員が逮捕されるという実例もある。
第5に、若者や女性で占められるインフォーマル部門労働者の社会保障が未整備であることが大変深刻な問題になっている。
第6に、退職時に退職金や老齢年金等の支払いがなされていない。

3. 課題解決に向けた取り組み

 コンゴ民主共和国にある3大労働組合のUNTC、CDT、CSCが、さらなる団結を高めるためにUFFという連合体を結成した。そして、組合自体が収益事業を行なえる制度を整備して、組合費の滞納あるいは支払い停止の問題を解決しようと試みている。それから、事業主側の未払い組合費を徴収するために団体交渉を実施することも大変重要である。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 三者協議の場として全国労働評議会がある。ここで労働に関連する法制の見直しや様々な労働問題に関連する協議が定期的に行なわれている。しかし、全国労働評議会の勧告を政府が無視し、一方的に労働法改正を行なうということもしばしば見られる。