フィリピン労使関係・労働政策セミナー

 国際労働財団(JILAF)は、フィリピン労働組合会議(TUCP)との共催で、「グローバル経済における政労使の役割、建設的労使関係の構築を通じた国内雇用の創出・安定」と題する労使関係・労働政策セミナーを5月27~28日、マニラで開催した。各国に先駆け、今年度初となる大規模セミナーには、ヘレーラTUCP会長、サントス労働雇用省労使関係対策局長をはじめ労政関係者(日系企業からは17人の企業別労働組合役員)約100人が参加した。
 セミナーでは、「グローバル化に伴う不安定な仕事への対応」、「社会経済開発と労働運動の社会的役割」、「労働監督制度および労働法制遵守制度」、「インフォーマル経済の拡大とILO勧告に基づくインフォーマルセクター労働者の保護」「政府・使用者団体への組合政策提言に向けて」、――などの講義がTUCP役員や外部講師により行われ、労使紛争の要因とその解決策等について考察する機会となった。
 フィリピンにおける労使紛争の主な原因として、①経済特区(SEZ)内等における不当労働行為(不当解雇や団体交渉権の拒否等)、②労働関係法遵守に係る政府の消極的態度、③有期契約雇用法の適用範囲拡大、④インターンシップ/企業内実習制度の悪用、⑤コールセンター/データーセンター/バックオフィス業務を含むBPO業界における諸課題(使用者側の組合設立に対する反対、長時間不規則労働、高離職率、労働環境、健康被害)等が挙げられる。
 その上で、齋藤副事務長は、①新興市場国群(NEXT11)の主要国と目されるフィリピンは、サービス産業が主要で高度経済成長を実現している唯一の開発途上国である、②2012年以降は多くの外国籍企業が中国より移転/労働集約の拡大も徐々に図られつつあり、アセアン経済共同体(AEC)発足を控え、タイ・インドネシアの後塵を拝していた第二次産業集積の一翼を担う目前にある、③1億人を超える人口や若い労働力(平均年齢23歳)/高いICT技術や英語力は社会経済の発展に不可欠な一方、国内の雇用基盤をいかに創出していくか、④そのためにはTUCPも、社会や組合員から、運動への共感を維持・拡大しつつ、政治的安定への貢献と国内雇用の創出・安定に向けた政府・使用者団体等への産業政策提言(建設的労使関係の構築に基づく製造業を中心とした持続的雇用の受皿創出など)が急がれている――等の認識を共有した。
 その後、「建設的労使関係の構築および政府への産業政策提言」と題するグループ論議/発表等を行った。各参加者より、①欧米、韓国系企業に比し労働条件/環境に配意がある日系企業の労働者重視姿勢、②国内企業およびSEZ内外資系企業の組合軽視姿勢、③良好な労使関係構築に向けた職場労使協議の地道な開催、④団結権の確保/不当解雇・不当労働行為の撲滅、⑤労働監督/労使紛争解決機関の充実強化、⑥雇用保障と人材育成の重要性、⑦サービス業における契約/派遣労働の抑制と正規社員化、⑧外資系企業の労働法制遵守、⑨持続的経済成長に向けた国内製造業の育成、⑩インフォーマルセクター労働者の保護に向けた政府への働きかけ、⑪TUCP組織内国会議員・地方自治体議員の養成と組織拡大・組織化を通じた発言力/影響力の強化、⑫TUCPメディア戦略と社会から共感を呼ぶ連帯活動――などに関する提言等があった。相互論議を行った後、ヘレーラTUCP会長、齋藤副事務長他より2日間の総括的見解を述べ、本セミナーを終了した。

日程

月日内容
05月27日労使関係セミナー1日目
「グローバル化に伴う不安定な仕事への対応」
「労働監督制度および労働法制遵守制度」
「社会経済開発と労働運動の社会的役割」など
05月28日労使関係セミナー2日目
「インフォーマル経済の拡大とILO勧告に基づくインフォーマルセクター労働者の保護」
「政府・使用者団体への組合政策提言に向けて」
「相互論議」など

参加者の様子

へレーラTUCP会長の開式あいさつ

サントス労働雇用省労使関係対策局長の講義

参加者による集団討論①

参加者による集団討論②

参加者による発表

インフォーマルセクター労働者の組合加入宣誓式