ミャンマー労使関係・労働政策セミナー

 2014年11月26日(水)・27日(木)両日にわたって、ミャンマー・ヤンゴン市内のラインタヤ工業団地において、国際労働財団(JILAF)とミャンマー労働組合連盟(FTUM)との共催による「労使関係・労働政策セミナー」を開催した。これに、FTUMから労働組合リーダー40人のほか、ミャンマー労働雇用社会保障省の関係者12人、使用者側から市内工業団地の工場使用者委員会リーダー11人の計63人が参加し、労使間・政労間の課題を共有しあった。ミャンマーでの本セミナーの開催は、本年1月に次いで2度目となる。
 開会式では、共催主催組織からマウンマウンFTUM書記長、鈴木人司JILAF現地支援グループリーダーが挨拶を述べたほか、来賓としてソーナイン労働雇用社会保障省労働局次長、丸山市郎在ミャンマー日本国大使館公使参事官、チョールウィン・シュウェピター工業団地使用者委員会委員長および中嶋滋ITUCヤンゴン事務所長が挨拶を行なった。マウンマウン書記長は、JILAFや日本国政府への謝辞とともに、ミャンマーにおける労働者の生活向上をめざした労使間対話の促進と労働法制改善の取り組みについて述べた。
 つづいて、労働行政および使用者側からの講話が行なわれた。まず、ソーナイン次長が労使紛争解決における労働雇用省の役割を説明し、「近年、政労使関係が機能し始めた効果として、労使紛争は大方解決できている」との見方を示しつつ、「紛争発生時には、職場調停委員会を通じて現場レベルで問題を解決すべきで、これには労働組合の協力が不可欠」と述べた。また、製品の大多数が日本市場向けの縫製業(トップバナー社)のミンミン代表取締役が自社の労使関係について講演し、「会社設立時の労使敵対との認識が、労働組合結成を境に変わった。いまは組合が代表して、きめ細かい要望を使用者側に伝えてくれて助かっている。無用な労使紛争の解決には使用者による現場への理解とともに、労働者も会社の厳しい状況を理解する必要がある」と述べ、とくに輸出競争の結果として倒産・操業停止事案も発生している現地アパレル製造業での労使関係の確立は重要、と強調した。
 一方、これに続く労働組合側からの基調講演では、ロニータンルウィンFTUM副会長がFTUMの組織状況を概観し、農業セクター組合員が中心の同組織にあって、他のセクターの組合数は着実に増えていることや、「力の行使(ストライキ等)による対処だけではなく、労使間の協議の上で労使関係の原則や具体的な労働協約を定めることなど、日本の経験に学ぶことが多い」と述べた。これらを受けた中嶋事務所長の講演では、建設的な労使関係の構築にむけた日本の経験が説明され、日本の高度成長の要因として、対立を経て生産性向上への貢献を通じた公正な分配を柱とした労使関係が生まれた一方、不当労働行為を防ぐための制度が現在のミャンマーには不可欠であると説いた。
 2日目には、すべての参加者が4グループに別れ、「労使関係の改善」および「現場の抱える課題の解決に向けて」をめぐり、グループ論議と発表を行なった。各グループからは、信頼関係を構築したくとも使用者の敵対姿勢がそれを阻み、賃金も低廉であること、政府の政策決定プロセスが不透明であることなどが提起される一方、事業場内の組合間対立の解消や、労働者自身の能力・技能向上への積極関与への意見も出された。
 これらを受けて、長村潔JILAF総務・財政グループリーダーが、「戦後日本労働運動の形成と労使関係の特質」と題して講演し、生産性三原則や現在の労使関係に至る日本の労働運動の歴史的経過、労使協議と労働組合としての政策提言力等、それぞれの関係性や重要等を説明した。これらをミャンマーが現在抱える闘争課題と重ね、日本の労働組合は自主・自立的な運営をベースに団体交渉と労使協議制度を確立したこと等について強調した。  
 最後に長村グループリーダーは、「ミャンマーにおいても労働組合の財政基盤が強化され、労使関係が健全に発展することを期待したい」と参加者を激励するとともに、中嶋ITUCヤンゴン事務所長からは、「回を重ねるにつれ運動の成長を感じる。若い世代への広がりを持って運動を展開してほしい」と述べられ、2日間のセミナーが締めくくられた。
 FTUMはこのセミナー開催後の29~30日に、民主化以降、FTUMとして国内で開催する初の全国大会を実施した。ここで、労働組合の中央団体として政府の登録基準に沿うよう、組織の規約と規定類の制定と執行部(5人)の再選出等を行なった。これに伴い、組織名もこれまでのFTUM(Federation of Trade Unions Myanmar)からCTUM(Confederation of Trade Unions Myanmar)に改称するなど、この大会での組織決定を足がかりに、正式な労働組合中央組織としての登録手続を政府に対して進めている。CTUMは、ミャンマーのナショナルセンターとして、新たなスタートを切ることになる。

日程

月日内容
11月26日セミナー1日目
11月27日セミナー2日目

参加者の様子

主催(共催)代表あいさつ/FTUMマウンマウン書記長

在ミャンマー日本国大使館・丸山公使がミャンマー語で来賓挨拶

ITUCヤンゴン事務所・中嶋所長の講演

JILAF長村総務財政グループリーダー講演

4班に分かれ、グループワーク

各班でいまの「労使関係」の課題解決に向けた行動計画をまとめる