インドネシア労使関係・労働政策セミナー

 11月14日(金)15日(土)の2日間にわたり、インドネシア・ジャカルタで「労使関係・労働政策セミナー」を、JILAFとインドネシア労働組合総連合(CITU(KSPI))との共催により開催し、現地労働組合リーダー約100人が参加した。セミナーでは、建設的な労使関係の構築と政策立案能力の向上を内容の基本としつつ、現地にて制度構築の議論が進む社会保障制度や、開催時期と相前後して水準について全国各地の地方三者委員会で審議が進む最低賃金もテーマとして取り上げられ、発表や活発な意見交換が行なわれた。
 初日の開会式では、共催組織であるCITUからアリ・アクバル副会長、JILAFから團野久茂専務理事から、また、来賓として、牧宣彰在インドネシア日本国大使館書記官、安永貴夫連合本部副事務局長からそれぞれ挨拶があった。アクバル副会長は、JILAFの協力に対する感謝とともに、インドネシアの社会保障制度が現在構築途上にあり、かつ最低賃金の額を決める議論が国内全土で行なわれている中にあって、本セミナーは時宜を得たものだと述べ、牧書記官は、かつての労使対立の時代を乗り越えた現在の日本の労使関係にみられるように、労使間のコミュニケーションは大切であり、本セミナーはその理解のためによい機会であるとそれぞれ述べた。
 続いて、JILAF、CITU双方から両国の労使関係や労働問題の現状に関するプレゼンテーションが行なわれた。團野専務理事から「経済社会の発展と労働運動の社会的役割」と題して、インドネシアの成長過程で求められる労働高度化や所得の再分配での労働組合の役割について説明し、政府への要求だけでなく個別企業での労使協議確立の必要性について訴えた。つづいてルスディCITU事務局長から「世界の新しい経済力となるインドネシア」と題して、賃金や社会保障の現状説明のほか、「社会対話」が進む一方、政府・企業の責任の所在が不明確であり課題解決に結びつかないなど、インドネシアでの労働問題とその対応について報告がなされた。質疑・意見交換では、「組織拡大と交渉」「既存組織での労使協議」「企業利益と適正な分配」等の重要性をめぐって議論が交わされた。
 課題ごとの講義では、小島茂連合総研副所長から「日本の社会保障制度の概要と課題~社会保障制度と労働組合の取り組み~」と題して、日本の社会保障が現在の形に至る歴史と現在の体系について講義が行なわれ、賃金・社会保障給付のバランスや給付・負担のバランスを熟慮しつつ、長期的視野で制度構築に臨んでほしい旨訴えた。つづいてアリヤナ・インドネシア大学講師(インドネシア政府労使委員会議長)は、インドネシアの労働組合の意思決定メカニズムと情報の共有プロセス、組織の交渉力の向上方策等について講演した。
 セミナーの2日目には、①最低賃金、②年金、③医療等社会保障全般の3分科会に別れ、各分科会で提言・行動計画をまとめた。そのあとの全体セッションでは、各分科会のまとめ報告とJILAFからのコメントが行なわれた。各分科会からは、①最低賃金は、一定水準以上の獲得をめざし、水準引き上げ要求も根拠あるものとしていく。②年金に関して、退職金の縮減をさせず、皆保険開始によっても現在の水準は後退させない。③社会保障全般に関して、現制度の内容・解釈が行政自身も含め国民に広く知られておらず、行政自身の能力向上と給付スタンダードの確立を求めていく、等の提言が出された。これに対してJILAF側からは、①最低賃金の水準は、生活が保障されるだけの賃金を勝ち取るねばり強い交渉を、労使関係の確立の中で続けていってほしい。②課題となる保険料負担と税金の投入のバランスについて、制度設計、給付水準、負担割合と料率等は、当事者の関与のもとで決められるべきであり、労働組合も立案能力を高めてほしい。③最近進出の日系企業、とくに中小企業で労使紛争が起きやすいことに関して、日本でも集団的労使関係が未成熟なまま現地に進出しているものとみられ、日本国内でも組織拡大・強化を進める決意を新たにしたい等、コメントがなされた。最後にアクバル副会長のリードにより、参加者全員での日本語による「ガンバロー三唱」でセミナーを終了した。

日程

月日内容
11月14日セミナー1日目
11月15日セミナー2日目

参加者の様子

開会

分科会のようす

参加者のみなさん