インド労使関係・労働政策セミナー

 10月15日と16日の両日にわたり、インド・タミルナドゥ州チェンナイにおいて、インド全国労働組合会議(INTUC)、インド全国労働者連盟(HMS)、国際労働財団(JILAF)の共催により、「労使関係・労働政策セミナー」が開催され、各組織のリーダー層約30人が参加した。
 国際労働財団はこれまで、アジア地域の労働組合(ナショナルセンター)との共催で、本セミナーを毎年10カ国以上で展開してきているが、インドでの開催は今回が初となる。
 本セミナーでは、国際労働財団はじめ参加各組織が、グローバル経済下における日・印両国の経済・社会情勢とその中での雇用・労働問題の現状と課題について発表しあい、意見交換を行なった。
 冒頭、来賓の中野正則在チェンナイ日本国総領事は、INTUCと国際労働財団両組織の協力によるインドの労働者保護、労働組合活動強化への寄与に対する賛辞とともに、このセミナーが双方のいっそうの連携強化につながることを望む、と述べた。
 初日のセッションでは、「雇用労働の実態と課題への対応」について各組織から発表が行なわれた。團野JILAF専務理事からは、「日本における雇用・労働運動の概括」と題して、日本の人口動態と雇用者数、とりわけ女性とその雇用形態を焦点化して、これが経済や社会保障に及ぼす影響について説明した。INTUCからは、要求実現や紛争解決をめぐり、「1991年の経済自由化以降、労働者保護法制度の未整備や州ごとの制度の不統一性と相まって、どんなに組織を大きくしても、使用者側が交渉や要求に対して取り合わないこともある」とする現状が共有された一方、HMSからは「労使間の課題への対処として、政府、多国籍企業や中小企業への労働組合による要求実現を、各組織の共同歩調で行なうことが重要」との発表があった。質疑・意見交換では、とりわけ当地労働組合が、法制度が未整備な中、紛争解決や要求実現を裁判に頼らざるを得ない現状や、各政党を背後に分立する労働組合による共闘への課題等が述べられた。
 また、2日目からはサンジーバ・レディINTUC会長がニューデリーより駆けつけた。講話では、国際労働財団および連合のこれまでのインド労働運動への協力に対する感謝を述べるとともに、現状について、「経済成長が進む中で労働法制は立ち遅れたままであり、労働者の権利保護も手薄であるが、これに向き合うインドの労働戦線統一が果たされていないのは残念」とコメントし、さらなる共闘を参加者に呼びかけた。
 その後、「労働運動の役割と課題」について参加各組織から発表がなされ、團野JILAF専務理事から「経済社会の発展と労働運動の社会的役割」と題して、極東から中国、東南アジアへの成長の波がインドに到達している流れの中での、グローバル経済において高まるインドの重要性について提起した。その一方で、インド側からは、政府が経済自由化に向け政策を大転換した1991以降の流れについて、「民営化や外資の導入が進められるも、労働者を守る規範が希薄な中、財界寄りの制度が構築されてきた。その中で労働運動も、組合結成・要求貫徹のためのストライキから、労働者保護を求めて法制化を要求するかたちに変容している。これからインドも学ぶ必要がある」(INTUC)や、「労使関係は総じて悪くなっている。若年者や女性に対する組織化のアプローチやインフォーマルセクター労働者を意識した運動の展開が必要」(HMS)との発表があった。
 最後にまとめとして、團野JILAF専務理事より、「グローバル化の流れは止められない。技術を導入して競争力をつける、そのための熟練人材の育成や高度化とともに賃金を向上させ、生活水準を高めつつ経済全体も向上していく、という好循環をいかに築けるかにかかっている」と述べ、2日間にわたるセミナーを終了した。

日程

月日内容
10月16日セミナー1日目
10月17日セミナー2日目

参加者の様子

講話を行うINTUCレディ会長

来賓ご挨拶・中野総領事

團野専務による開会式での挨拶