カンボジア二国間セミナー

 国際労働財団(JILAF)は、カンボジア・プノンペンで11月14日、二国間セミナーを開催し、過去の招聘事業参加者を中心に、合計40人が参加した。カンボジアからは2001年から2013年までの間、合計22人を日本へ招聘している。その主な内訳は、カンボジア労働組合連盟(CCTU)から8人、カンボジア労働組合連合(CCU)から2人、カンボジア労働総連合(CLC)から3人となっている。
 このセミナーは、これまで日本の招聘事業に参加したカンボジアITUC-CCの組合役員を中心に現在の日本の労働事情などをアップデートし、それが結果としてカンボジアにおける建設的な労使関係構築や労使紛争の未然防止につながることを目的としている。
 セミナーでは活発な意見交換がなされ、建設的な労使関係構築の重要性に関する参加者の認識をさらに強化することができた。開式のあいさつでは、2005年度の招聘事業に参加したチュンモントルITUC-CC事務局長(CCTU会長)から、「日本では賃金に代表される労使交渉が暴力的ではなく、全国規模で春季に集中して交渉をする春闘として制度化・習慣化されていることに深く感銘を受けた。この経験が、3つのナショナルセンター(CCTU、CCU、CLC)をITUC-CCとしてまとめるきっかけとなった。今日参加のみなさんも日本の労働運動の経験から学び、自らの活動の糧としてほしい」との言及があった。
 また、2004年度招聘事業に参加したロンチュンCCU会長は、セミナー直前に発生した繊維工場労働者のデモに対する警察の発砲に対してあいさつで触れ、「民主化を後退させる行為であり、ポルポト時代を彷彿とさせる。このセミナーがあらためて真の民主化に向けた労働組合の役割を確認するものとなるように切に願いたい」と述べた。
 これを受けて團野JILAF専務理事より、「歴史的な転換点を迎えている世界経済とその発展を支える建設的労使関係の構築」という題目で講義を行なった。主旨は①カンボジアの近現代史は米ソ冷戦の国際政治に大きく影響を受けたこと②1993年の民主化以降も、グローバル化の波にさらされ、格差拡大がカンボジアでも顕在化していること(今後はASEAN経済共同体(AEC)の役割が重要)③この格差の是正対策が労働組合の役割であること④対策として建設的な労使関係の構築と、組合執行部と組合員との信頼関係の構築(組合民主主義)が不可欠である――などを強調した。
 過去の招聘事業参加者の発表では、「日本では1企業につき1つの企業別労働組合という場合が多いことが印象的であった。企業に複数組合が存在することが珍しくないカンボジアと比べると、労働者の声をまとめて経営者に伝えられる点で優れている」「日本とカンボジアとの大きな違いに驚いた。例えば、組合の交渉能力である。賃上げ要求するときに、日本では労働組合が使用者を納得させる客観的な事実を示すことに徹底している」「労働金庫や全労済などの労働者のための助け合い組織をカンボジアでも作りたいと感じた。ハローワークなど日本の労働支援システムも重要だ。日本の経験を学び、組合自治を早期に確立しなくてはならないことを強く感じた。カンボジアの労働運動・労使関係を建設的なものとするためには、若い組合員がよく勉強しなくてはならない」――など、建設的な労使関係構築の重要性を再認識する機会となった。

日程

月日内容
11月14日二国間セミナー
11月15日ITUC-CCとの打合せ

参加者の様子

セミナー参加者の様子

過去の招聘事業参加者の発表①

過去の招聘事業参加者の発表②