香港(HKCTU・HKTUC)普及セミナー

 国際労働財団(JILAF)は、普及セミナーを2012年8月8~9日、香港で開催した。香港労働組合連盟(HKCTU)および香港・九龍労働組合評議会(HKTUC)からは、過去の招聘プログラム参加者や労働組合指導者が計41人参加した(過去の招聘プログラム参加者は14人)。JILAFが香港で普及セミナーを実施するのは、初めてのことである。
 このセミナーは、[1]普及セミナーを通じて、過去の招聘プログラム参加者が日本で学んだことを帰国後、どのように組合活動に活かしているか調査する[2]日本および招聘対象国の労働情勢や労働運動に関する意見交換を行ない、両国間の連帯と連携を強化する――ことを目的としている。
 香港の企業には終身雇用制や年功序列が無く、日本のような公的年金や国民健康保険制度も無い。企業に対する労働者の忠誠心が相対的に低く、また、法的に団体交渉権が認められていないことと個別契約によって労働条件が決まることから、賃上げを要求することよりも転職をする傾向が強い。企業が突然解雇する場合には、金銭補償の慣習が一般化している。こうした背景とともにコスト抑制から、労働者の多くは契約社員やパートなど非正規労働者によって占められている。失業率は2011年通年で3.4%となっている。2011年5月1日より、最低賃金条例が施行され、今年8月現在、香港の法定最低賃金は時給28香港ドル(280円)となっている。
 HKCTUとのセミナーでは、チェン・チン・ファート会長から、「1990年に設立以降、長年に渡って数多くの組合指導者がJILAF招聘事業に参加する機会を得て、国際的な視野を広げることができたことに感謝したい」とあいさつ。その後、JILAF・勝尾副事務長から「日本の労働組合が直面している課題」と題した講義を行ない、参加者からは、日本の「非正規労働者」、「法定退職年齢」、「高齢者支援」、「解雇時の金銭補償の慣習」などに関する質問が出された。
 招聘プログラム参加者の帰国後の活動報告では、「日本における工場労働者の組織化に感銘を受けた。帰国後、ミキサー車工場労働者の組織化に力を入れ、労働者800人の95%を組織化することができた」「日本における研修後、警備会社労働組合で「春闘」という名の下、(1)団体交渉の実施を要求(2)労働時間制導入の要求(3)最低賃金導入の要求を継続してきた」などの意見が出された。
 HKTUCとのセミナーでは、リー・コク・クウェン主席より歓迎のあいさつの後、JILAF・勝尾副事務長から最低賃金や労働時間をはじめとする日本の労働事情全般についての講義を行なった。招聘プログラム参加者の帰国後の活動報告では、「日本の労働組合のデータ分析力に感心し、帰国後は調査・研究に注力した。他国の参加者との交流は国際的な視野を広げ、有意義であった」「研修前は、所属する企業で労使が激しく対立する関係にあった。しかし、研修後は労使が共に話し合う労使協議制を実施する方向に転換した」「団体交渉権や公的年金制度の無い香港からすると、日本の労働法が最も勉強になった」「飲食業で働くため、パートタイム労働法や最低賃金について興味深く学ぶことができた」などの感想が聞かれた。

日程

月日内容
08月06日HKCTUとの打ち合わせ
香港日本人商工会議所訪問
08月07日HKTUCとの打ち合わせ
在香港日本総領事館訪問
08月08日普及セミナー(HKCTU)
08月09日普及セミナー(HKTUC)
08月10日HKCTU・HITUCとの打ち合わせ

参加者の様子

HKCTU訪問

在香港日本人商工会議所訪問

HKTUC訪問

在香港日本国総領事館訪問

HKCTU普及セミナー

HKTUC普及セミナー