フィリピン労使関係・労働政策(IR)セミナーを開催

開会式の様子

 国際労働財団(JILAF)は、フィリピン労働組合会議(TUCP)との共催で、「グローバル経済における政労使の役割、建設的労使関係の構築を通じた国内雇用の創出・安定」と題する労使関係・労働政策セミナーを5月18~19日、マニラで開催した。各国に先駆け、今年度初となる大規模セミナーには、トーレスTUCP会長、日本国大使館安川一等書記官をはじめ労政関係者約100人が参加した。

 セミナーでは、冒頭、ルーベン・トーレスTUCP(フィリピン労働組合会議)会長、日本国大使館安川一等書記官、安永貴夫JILAF専務理事から挨拶のあと、JILAF、TUCPそれぞれから、現状認識と課題について説明した。安永専務理事が「日本の労働組合の課題と役割」と題して、日本の建設的労使関係を通じた雇用安定等の取り組み、労働組合の組織機構と活動(とりわけ賃金要求と交渉・労使協議制)および政策実現行動等に関して概括的に説明した。
 
 これに対し参加者からは、組合の政治/政党への関与、日本での最低賃金決定メカニズム、教員の組合活動などの他、フィリピンで導入を検討している週休3日制が日本でも検討されているかといった質問や意見があり、安永専務理事より適宜見解をフィードバックした。
 
 一方、TUCPからは、マパロ教育部長から「フィリピンの労使関係」として概説があり、経済成長しているものの賃金は上らず、失業率も高く不安定雇用が問題になっていること、輸出特区での労働条件悪化、新労働法の有名無実化、貧困・格差の拡大などの現状分析があり、これらに対して組織化と団体交渉での解決を呼びかけた。

 続くセッションでは、討論会に先立ちNational Labour Unionディワ会長からフィリピンの 労使関係・雇用安定・労使紛争解決制度の政策策定・実施状況の報告、また労働雇用局・労働条件担当ククエコ代表からは法人監査体制がILO指摘により2013年に整備され、監査員倍増・オンライン化などで16年毎だった監査が2年ごとになった旨の説明があり、これらについて討論が行われた。

 2日目は、引き続き参加者からの発表で、TUCPフロレンシア女性局長から女性の労働状況について、同カポキアン事務長から経済特区での労働紛争とその解決状況について、VOICEのアンジェリータ会長からはビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)従事者の現状が報告され、これらに関する活発な意見交換が行われた。

 また、ALLWIESテシオルナ会長から貧困の真因と対策の必要性について、教育セクターにおける労使関係について、私立はSMP-NATOWノリエガ局長、公立はTOPPSラモス局長から状況報告がなされた。教育従事者は労働時間が長いだけでなく、非正規雇用で雇い入れられる事例も多いことから、労働組合としての政策要求などの取り組みを必要としている旨報告があった。すべての発表と討議の後、参加者はそれぞれが今回のセミナーを通じて得た内容を今後の活動にどう活かすか(「アクションプラン」)をグループごとに発表した。

 閉会式で安永専務理事は、今後のAIやIoTといった技術革新や外資の導入は避けられず、その中で雇用確保・安定に努めていくには建設的労使関係が重要であることを強調し、今後の活動への期待が表明した。

日程

月日内容
05月18日セミナー1日目(会場:マニラH2Oホテル)
05月19日セミナー2日目(会場:マニラH2Oホテル)

参加者の様子

セミナーの様子

質疑応答

閉会式の様子