インドINTUC/JILAF労使関係・労働政策(IR)セミナー(報告)

セミナーの様子

 7月6日と7日の両日にわたり、インド・アンドラプラデシュ州 ビジャヤワダにおいて、インド全国労働組合会議(INTUC)、国際労働財団(JILAF)の共催による「労使関係・労働政策セミナー」を開催し、現地日系企業労組3名を含む加盟各組織のリーダー層24人が参加した。
 今回セミナーを開催したアンドラ・プラデシュ州のビジャヤワダは、2014年の同州分割に伴い2024年までに建設予定の新州都(アマラバティ)に隣接する大都市である。同地域における日系企業の進出を見据え、セミナーでは「労使紛争の未然防止のための労働組合の役割」労働組合による多国籍企業への対応の重要性を主要テーマとし、論議を深化させた。

 JILAF、INTUCからの挨拶に続いて、インド側から、G.W.ゴウデ・アンベカール労働研究所所長(INTUC付属研究機関)による「インドの労働法制の改正と労使関係への影響」と題した講義、JILAF側から日本の労働組合の組織機構と活動、とりわけ賃金要求と交渉・労使協議制、政策実現行動等に関する講義、及び「次の発展ステージを構築するための労働組合の役割」と題する講義を行なった。
 参加者からは、最低賃金、社会保障等、ミニマム保障の各種法の適用が進んでいないことや、擁する組合員数と登録制度が、交渉応諾への障害になっている等の発言が相次いだ。また、労働組合が社内に複数組合存在する場合の日印間の相違(労働組合登録認証制度と団体交渉応諾義務、等)と、それが交渉過程や労働条件に及ぼす影響、さらに多国籍企業の行動規範等について議論が及んだ。また、進出日系企業の日本国内における労働組合に対する使用者側の姿勢や、国内市場の形成上必要な内需喚起にむけた政策対応(格差解消含む)はどうあるべきか等についても議論がなされた。

 セミナー2日目は、3グループに別れてグループ討議を行なった。各グループは、「労使紛争の未然防止のための労働組合の役割」「組織拡大・強化への課題とそれへの対応」それぞれのテーマに関する論議と発表を行った。なかでは、未組織労働者が多い現状において、保護が行き渡らないこと、使用者側の「管理職層」の線引きを理由とした単一組合へのメンバー糾合の難しさ、手薄な人材育成等の課題が挙げられ、それらへの対応として運動参加への呼びかけと使用者に対する交渉力強化、政策実現行動の強化による労働条件/生活水準の向上への必要性が述べられた。また、社会保障適用の欠如や、同一事業場複数組合併存による弊害、組織内での不協等への対処に苦慮していること等についても課題が挙げられた。

セミナー総括と閉会において、塩田事務長は「活動の根は現場であるべきであり、組合員はもとより非組合員に対しても、誰が労働組合の窓口かを日常からアピールし、同時に組織の財政基盤を強化することが重要。また、作業現場の改善や個別課題解決も日常活動のひとつであり、それらは労使の信頼関係を基礎に解決しうるものだ」、前向きな労使対話を積み重ねてほしい」と総括し、組織拡大・強化を背景とした労働組合の対応力強化の必要性を強調した。また、ジャガナダン書記長は「外国資本による投資が今後進むであろうこの地で開催できたことは意義深く、議論して得たことは各職場に持ち帰り、必ず実践に移してほしい」と訴え、セミナーを終了した。

日程

月日内容
07月06日セミナー1日目
07月07日セミナー2日目
07月08日アンドラ・プラデシュ州政府新庁舎建設地(アマラバティ近郊)訪問

参加者の様子

V.R.ジャガナダンINTUC中央執行委員挨拶

G.W.ゴウデ・アンベカール労働研究所所長の講義の様子

グループ討議の様子