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No.474(2017/9/15)
仏マクロン大統領は労働法「改革」で労働組合と対決

 フランス政府は8月末、雇用関係の「自由化」を狙いとする労働法改革案を発表した。新労働法は解雇の容易化と地域の協定優先化により全国団体協約を無効化する。
 5月のマリネ・ルペン大統領に決定的な選挙で勝利したマクロン大統領は、既存の法律がフランスのビジネスを後退させたと主張する。彼の選挙運動中、彼は、制限的労働法が10%の失業率を産んでいると主張した。解雇の容易化によって仕事を生み出すことはないと労組は反発している。失業率は、金融危機とその後の緊縮政策の結果である。新労働法は、多くの労働者、特に若い労働者を不安定な非正規労働におとしめ、不平等が増大する。
 新しいフランスの労働法は、バングラデシュ、ブラジル、アルゼンチン、インド、ペルー、ポーランド、英国を含む世界的な労働組合権侵害の流れが背景にある。

 新法の主な焦点は、産業セクター全体の団体交渉を現地協定に置き換えることである。これは、労働組合の代表がいない中小企業でも結ぶことができ、全国レベルの労働基準を下回ることになる。これらの地方協定は、短期間および臨時雇い契約を導入する権限を有する。
 重要なのは、マクロンが新しい労働法を勅令で導入したことだ。その法律は、その影響を軽減する民主的なプロセスを提案する以前に議会で批准されなければならない

 フランスには5つのナショナルセンターがあり、うち4つはインダストリオールに加盟している。すべての組合は、マクロンの労働法を労働者の力を弱めると見ているが、この挑戦に対するそれぞれの対策なり方法を有している。一部の組合は新しい法律にプラスの側面があるとしている。

 歴史的に最も影響力のあるCGT(Confederrationgeneraledu travail)は、当初から新労働法に強く反対した。CGTは9月12日のゼネストと動員を呼びかけた。CGTは運輸、エネルギー、製造業を含む多くの主要産業セクターで強力であるため、ゼネストは大きな影響を与える可能性が高い。

 インダストリオール傘下のFTM-CGTのボリス プラッィ氏は次のように述べている。
 「新労働法は労働者の権利と社会モデルに対する前例のない攻撃である。その目的は、明らかに集団的権利を廃棄し、労働者と雇用主間に個々の契約関係を導入することにある。これは組合に対する攻撃だ。マクロンは、ヨーロッパや世界のすべての労働者や組合に影響を及ぼすソーシャル・ダンピング・モデルを作成しています」

 CFDT(The Confederation francaise democratique du travail )とFO(Force ouvriere )は、新しい労働基準のすべての面に反対するものではなく、協議を通じて建設的な影響力を持つことができると希望し、彼らは何らかの譲歩を勝ち取ったと感じている。
 FOは、何ヶ月もの集中的な協議にもかかわらず、最終的な文書に大きな不一致があったと述べた。しかし、いくつかの成功もあった。「我々はいくつかの政府や経営側の条項を撤回させた」とFOは述べている。
 CFDTは、生産システムの変化に対応する一部の労働改革が必要であると考えている。我々は生活のため仕事を守るというより、「柔軟な雇用の安定」を求めており、それには再訓練や、適切な移動制度により可能だ。
 CFDTは、雇用者側の一方的な力が増加したと考えている。ルモンドとのインタビューで、CFDTのローレント・バーガーは「我々は失望している。私たちの提案はほとんど受け入れられませんでした。これといった対抗策はなく、労働組合の存在について最小限のものと感じました。政府は労働者に否定的な条件で社会的対話を強化する機会を逃した」と言明した。
 この気持ちは次のようにCFE-CGCに反映された。
 「労働法を簡素化し、雇用を促進することだった当初の計画は途中で消えてしまった。代わりに、我々は雇用を創造しないイデオロギー的改革に直面している。これは、不安定雇用と社会的ダンピングを増加させる全く別の自由主義的改革です。CFE-CGCは、ほとんどの措置が規制緩和に焦点を当てていると痛感している。労働者の雇用の安定と企業の活性化への条項はどこにあるのか?この新労働法は労働市場への参入を容易にしないで、退職を容易にするものだ!」

 マクロンの新労働法は、労働組合によって強く抵抗されていた前労働相ミリアム エルコムリによって導入された法律の発展である。CGTとFOは、国際労働機関(ILO)に対し、条約87条、98条、158条違反について苦情を提起した。
 マクロンは勝利したが今ではほとんど国民の支持を得ておらず、彼の支持率は低下している。新労働法は、彼の政策に対する国民の反応をテストするだろう。勅令は、6か月後議会で採択されるまでは法律になることはない。この間、組合は、反対への影響を与えるために、今後数週間動員することになる。

 インダストリオールのバルター サンチェス書記長は次のように述べている。
 「われわれのフランスの加盟組織は、各組合員の意志を反映して、新労働法に対して異なるアプローチを取ってきた。このような戦術(ストライキと交渉)の組み合わせは、労働者の権利を損なうことは経済を構築する方法ではないという明確なメッセージをフランス政府に送ったと我々は信じている。
 歴史によれば、投資と雇用がもたらすものはダイナミックな消費市場です。これは労働組合権を弱くさせる法律によるのではなく、団体交渉協定によってもたらされる高賃金労働者によって実現する」。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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