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No.467(2017/7/26)
米国進出の中国部品企業が遭遇した文化の違い

 中国のフヤオ・ガラス産業は2014年に5億ドルを投資して、オハイオ州のGM工場の跡地にウインドー・シールド工場を建設し、各自動車メーカーへの部品供給を開始した。

 これは米国の雇用を奪うという動きとは反対のものであり、現在1,500人の従業員を雇用している。中国からの投資は2000年から始まり、総額は1,200億ドルに達しているが、その半分は2016年以降のものであり、外国投資の中で最高レベルにある。

 一方で、両国の文化の違いも出始めており、フヤオ産業ではアメリカ人管理者の数や工場規則、労働慣行を巡って摩擦が起きている。フヤオ産業は既存設備の買収ではなく新規の設備投資に注力した。この点からも、米国の諸規則や政治環境に不慣れな外国企業が侵しがちな失敗が起きている。

 労働問題について米国は中国よりも厳しい。2014年にアラバマ州に設立された中国銅管メーカーも300人の雇用を産みながら、安全性の不備と低賃金で労働組合が造られた。

 全米自動車労組(UAW)によれば、フヤオ産業でも「充分な予告なしに有給休暇を取得した者には罰則が課され、中には化学薬品職場に回されて火傷と肺病を患い、労災期間中に解雇された者、また、米国人の管理職登用を増やすという会社説明とは裏腹に、「中国人でないために解雇された」という米国人元管理職からの訴訟もあり、事実11月には米国人工場長と副工場長ともに解雇されている。全米自動車労組(UAW)による強い労組結成キャンペーンにも曝されている。

 従業員はまた「中国人は職業訓練や従業員との協力にも熱意を見せない」と不満を語る。しかし中国人のカオ社長は「工場長、副工場長とも仕事をしない金食い虫だった。生産性も中国ほど高くない。従業員も怠けものが多い」と話す。

 ミシガン大学の中国研究所ギャラガー所長は「中国企業人は従順な農村からの移住者を想像して、従業員からのプレッシャーなどは考えられないのだろう」と語る。

 フヤオ産業の従業員はまた、「会社は常に生産目標を上方修正する。機械の不具合で運転停止を求めた人が解雇された。修復作業は動いたままのベルトコンベヤーに飛び乗って行われた」と話す。

 同社バネッティ人事担当副社長は「会社は目標達成のために安全性を犠牲にしてはいない。ただ言えるのは、中国人にスピード優先の傾向があるのに対し、米国人はすべての要素を考慮に入れて処理する傾向の違いがある。会社は計画通り4―5年かけて米国人管理職を増やしてゆく。最近2人の米国人副社長を雇い入れたばかりだ」と説明する。

 他方、カリフォルニア大学のウエイイ・シ教授は「アフリカやアジアの中国企業では現地人への権限移譲は進んでいない。管理職の多くは中国人で、現地人役員は人事関係に限られる」と指摘する。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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