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No.465(2017/7/19)
ILOのガイ・ライダー事務局長、東京で仕事の未来を語る
~ILO百周年(2019年)に向け講演、東京オリ・パラとの連携も確認~
The Future of Work シンポジウム

 5月10日から13日まで、ILO(国際労働機関)のガイ・ライダー事務局長が日本を訪問した。今回の訪問は、明後年(2019年)の「ILO百周年」に向け、その意義をアピールし、新たに構想されている取り組みを紹介して、日本の各界と意見交換をはかるものである。東京滞在期間中、ライダー事務局長は、安倍総理大臣、岸田外務大臣、塩崎厚生労働大臣を訪問、そして連合、経団連、ILO議員連盟、JILAFなど日本の関係者との意見交換を行った。

 5月12日には、ライダー事務局長を迎えて、仕事の未来をテーマとするシンポジウム(「Symposium on the Future of Work」)が、国連大学のウ・タント国際会議場で開催された。このシンポジウムは、労働政策研究研修機構(JILPT)が主催し、ILOが共催するもので、労使の関係者、NGO/NPO、研究者、学生など約900人が参加した。ライダー事務局長は、仕事の未来に向けてと題する基調講演を行った。そののち、JILPTによる労働情勢の報告ならびにパネルディスカッションが行われた。パネルには連合、経団連、労働問題の研究者が発言、ディスカッションではライダー事務局長も参加し、熱心な論議が行われた。

 このシンポジウムで、ライダー事務局長は、労働の世界が大きく変化しつつある現状を踏まえ、ILO百周年を機に新たな挑戦を行うこと、それに向けて「7つのイニシアティブ」(※)に取り組んでいることを紹介した。そして、その成否のカギを握るものは、ILOが「労働の正義」をどう継承、拡大できるかにあると述べた。また、そのための主要な課題として、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術革新、世界的な人口動態の変化、経済成長と環境保護の両立、グローバル経済下での労働市場の最適化などを示した。

※つぎの分野の7つのイニシアティブを指す。①仕事の未来、②貧困撲滅、③働く女性、④グリーン、⑤基準、⑥企業、⑦ガバナンス(ILO第103回総会(2013)で確認)。

 また、ライダー事務局長は、5月12日に、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会を訪問、武藤事務総長などと熱心な意見交換を行った。そのなかで、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックが、その準備、調達、運営において、ILOの理念と労働基準を尊重するものとなるために、両組織がパートナーシップに関する協定を締結することに合意した。これは長い五輪の歴史でもはじめてのことである。また、11日には、ILOと厚生労働省との間の協力に関する覚書に署名し、今後、両組織間で年次戦略協議を実施すること、仕事の未来の論議を促進することなどを確認した。

 ライダー事務局長の東京訪問は以上のとおり大きな成果を上げた。現在、日本では、ILO百周年に向けて、政府(厚生労働省)、経団連、連合等がそれぞれにプログラムを組み、国民、企業、勤労者などへのアピールを強めている。また、ILO駐日事務所、日本ILO協議会などが、その意義と活動を普及する取組みを推進している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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