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No.460(2017/7/3)
オバマ改定の労働組合結成規則を廃止の動き

 労働省がオバマ時代に改定された労働法を廃止する方向で動き始めた。新たに就任したアレクサンダー・アコスタ労働長官の最初の動きとして注目される。

 “説得者ルール”と呼ばれるこの労働法は2016年3月に定められ、労働組合結成の時に会社が助言を求めて接触する法律事務所ないし協議機関に関する情報開示を義務付けたもので、「従業員がその代表を決定する事に影響を与える会社の行動や行為、コミュニケーション」について報告するよう求めている。

 2016年以前は、労働組合結成時に外部グループが従業員と直接接触したときだけに会社に報告義務が課されていたが、実際には会社管理者が従業員と接触することが殆どであり、専門知識を駆使する外部機関による労働組合阻止の動きには規制が利かなかった。これを止めたのがオバマ改定であった。

 しかしテキサス連邦地裁でオバマ改定に差し止め命令が出るなど、法律的にも疑義が多いとして、労働省は見直しを言明した。これに対しAFL-CIOは「企業社会が組合潰しのために金を払っているのは誰か、経営者は知られたくないだろうが、労働者は知っている」とする非難声明を出した。

FIFA競技場建築現場でまた労働問題

 FIFAワールド・カップについては、過去何回も建築現場の労働条件の劣悪性が問題にされたが、2018年開催のロシアでも発生している。
 人権団体の“ヒューマン・ライト・ウオッチ”(HRW)および国際建設・木工労連(BWWI)の指摘によると、ロシア各地の7会場で既に17人の死亡事故が起き、賃金の不払いと遅延、マイナス温度の中での強制労働、不当な労働契約なども発生しており、これを訴えた労働者には使用者からの報復、解雇も起きている。

 FIFA(国際サッカー連盟)はこうした労働問題に対処するため人権監視委員会を設置してきたが、それでも3月にはセント・ピータースバーグの建設現場における北朝鮮労働者死亡事故、その他ロシア各地で問題が起きている。ロシアでは2014年のソチ・オリンピック時にも特に移民労働者を対象とした労働問題が多発して、HRWが労働者保護の強化、違反事実の調査、罰則の強化を訴えたが、政府の反応は遅い。

 FIFAワールド・カップ競技場建築については、HRWまた幾つかの国際労働組合が数々の労働問題を提起しており、FIFAも労働条件や人権問題の劣悪な国々を開催地選定から除外する方針だが、2022年開催のカタールでは既に問題が指摘されている。2026年の候補地選定には、こうした経験が生かさなければならない。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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