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No.459(2017/6/20)
ウオールマート、帰宅時の従業員に商品配達を委託

 米国小売業の最大手、ウオールマートがオンライン注文の商品配達を帰宅時の従業員に託す試みを始め、同業アマゾンとの競争に対抗する。顧客宅への配送は「配達最終1マイル」と言われる最もコストの高い部分だが、これに帰宅時の従業員を使う。

 同社は顧客がピックアップする注文商品を配送センターから最寄り店へ配送しているが、その延長として、店から顧客宅までの注文を帰宅する従業員に託そうとするもので、実施は試験的にニュージャージー州2か所、アーカンソー州1か所で始めた。この点、ウオールマートは米国人90%について10マイル以内の店舗展開が出来ている優位性がある。
 しかし現在は試験段階なので、具体的な手法や従業員への報酬(距離、時間、配達商品数、配達戸数などが絡む)ついては明らかにできないという。従業員にはそのための手当てと残業代とが通常賃金に追加して支払われる。

 労働専門家によると「これはウーバー・スタイル(インターネット配送タクシー)と従来雇用を混ぜ合わせた方法といえるが、従業員の負うリスク、コスト、責任など幾つかの問題点を含む。従業員への利点もあるが、その多くは使用者に集まる」と指摘する。
 他方、ウオールマートの労働組合結成に取り組むグループ(食品商業労組が支援)は「会社は最低賃金を$10に引き上げると言っているが、それでも生活は苦しい。今回も本来出すべき賃金を出すのではなく、余分な仕事分を支払うだけのことだ。溺れる者に救命具に掴れということ」と突き放す。ある従業員も「ガソリン代や車の追加保険料、車の摩耗、配達時の潜在的な危険など分からない部分が多い。会社は150万の従業員にアマゾンより良い会社だと説明しているが、待遇はあまり良くない」と話す。

 ウオールマートによるこうした試みは今回が初めてではない。オンライン注文の引き取りを同店駐車場で行う場合は割引を行っているが、一般145顧客にも割引と引き換にオンライン注文の配達を依頼したり、フェニックスやマイアミではウーバー・タクシーなどを使った共同配達、また自動運転車による配達を模索するなど、配達費軽減は重大関心事である。

 先月、実際に数百件を配達したある従業員は「会社アプリで1日10件までの配達を申し込める。大きさや重量も希望できる。消化出来なければUPSやFEDEXなどの外部に依頼する。完全に個人希望で先着順、いつも交代勤務が終わってからだ」と話す。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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