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No.457(2017/6/9)
労働法と年金改定反対のブラジル労働者が大統領退陣を要求

 4月28日、ブラジル中央統一労働組合(CUT)など大手の労働組合がテメル大統領政権による労働法と年金の改訂に反対して、数百万労働者による大規模なゼネストを展開した。

 その後最近に至り、現在服役中のクーニャ元下院議長の収賄をテメル大統領が容認していたとの疑惑が浮上して最高裁が調査に乗り出したことから、一般国民および労働組合から大統領退任、弾劾の要求が強まり、5月21日には再び全国各地で抗議行動が展開された。
 サンパウロでは数百名が4月のゼネストに続いて労働法と年金改定反対を叫び、テメル退陣を要求した。彼らの多くは弾劾、罷免されたルセフ前大統領の支持者でもある。リオデジャネイロでも数百名が教員組合など労働組合の旗を掲げて大統領退陣を要求した。

 クーニャ前下院議長は議会におけるルセフ弾劾に主要な役割を果たした人物だが、テメル大統領は「収賄容認について提出された記録は改ざんされたもの」と主張して、最高裁に調査の中止を要求した。これも異例のことである。一方、調査に当たっている検事総長は「検察に協力する人たちの証言と記録に矛盾はなく、整合性が認められる」と述べた。
 政界ではテメル支持の政党の一部が既に離反、その数が増えており、労働法と年金改定法案も審議困難な状態にある。テメル政権ではブラジルの難局を打開できないとの雰囲気が強まっている。

エール大学で労組承認要求のデモ、そして各種行事

 全国労働関係委員会(NLRB)は私立大学における助手や講師資格などの大学院生について労働組合を結成する権利を承認している。これを受けて著名なエール大学にも8学部に少人数の労働組合が結成されたが、大学側は全学にわたる労働組合でなければ認められないと上訴している。

 こうした中で5月22日、卒業式典を迎えたエール大学で組合所属の大学院生1,000名が労組承認を要求してデモ行進を行った。
 同時に大学内では3,600人への学位授与が行われ、中でも名誉博士号は市民権運動に功績がありトランプ大統領からは「話しだけの男」と酷評された民主党ジョーン・ルイス下院議員、そしてジョーン・ケリー前国務長官、歌手のスティービー・ワンダー氏に授与されて、ワンダー氏がダンスと歌を披露する多彩な1日となった。

キャリア空調会社の雇用、トランプ大統領の約束裏切られる

 選挙期間中トランプ大統領が100%の雇用を確保すると約束したキャリア空調会社だが、「1,400名従業員のうち632名の仕事を、7月20日を期して、メキシコに移転する」とインディアナ州政府に通告した。メキシコでは時間給が$3.90に過ぎない。

 昨年春、トランプ氏はキャリア会社の労働者を前に「大統領になれば、海外流出する雇用を止めて見せる。会社をして“インディアナ州に残ることにした。80%、95%ではない。100%だ。”と言わせる」と公約して労働者の喝采を浴びた。そして当選後、「キャリアの親会社、ユナイテッド・テクノロジーズ社と協議して、今後10年間、$700万の州税減税と引き換えに1,100名以上の雇用を残すことで約束した。会社は更に$1,600万を追加投資する」と演説した。しかし会社はその後、$1,600万がオートメーション投資だと明かした。

 当時、キャリア労働者を組織する鉄鋼労組(USW)ローカルのチャック・ジョーンズ委員長は「トランプは800名しか残せない事態を誇大に吹聴している」と指摘して、トランプ氏からツイッターで「組合委員長としてのジョーンズの仕事は酷いものだ」と応酬された。
 この点について会社は「1,000名以上の雇用は確保されるが、その多くは最初から異動対象ではないエンジニアと本社職員を含む。但し会社はインディアナの設備を中核にして今後の発展を目指す」と説明する。他方、ジョーンズ委員長は「組合員550名が削減対象となった。また契約職員82名が異動となる」と語る。

 保守系のアメリカ企業経営研究所では「キャリア空調についてトランプ氏はある種の回答を出したと言える。数十年来、製造業の雇用はインディアナ州を中心に縮小を続け、3分の1以下に減少した。キャリア会社は政治の流れの中で一つの手がかりをつかみ、トランプもまた、そこから労働者のチャンピオンとしての立場を築いた」と評している。
 他方、近隣のボール・ベアリング工場、ここもトランプがツイッターでメキシコ移転を非難した所だが、計画の変更はなくこの夏300名のうちの最後100名を解雇する。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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