バックナンバー

No.455(2017/6/2)
米国フォルクスワーゲンに再度の不当労働行為を認定

 全国労働関係委員会(NLRB)は米国フォルクスワーゲン社(VW)について、再び不当労働行為があったことを認定した。
 本件は2015年12月に108対44で結成された機械・ロボットのメインテナンス熟練工によるUAW(全米機械工労組)の職場について、会社が労使協議なしに一方的に従来の12時間シフトを8時間に変更し医療保険料を引き上げたことを問題視するものである。

 会社はこの職場のUAW労組結成について、会社全体を単位とする労働組合でなければ認めないとする上訴を連邦アピール裁判所に起こしている。しかしNLRBは労働組合がある以上、上訴のために団体交渉権が侵害されてはならないとして、5月24日までの会社回答を期限としている。
 会社か職場かの区分についてNLRBは「メインテナンス職場は組立てや溶接、塗装職場とは違った性格、訓練、監督、勤務時間体制を持つ“別の利害共同体”であるとして、この職場だけの労働組合設立を認めている。

 VW米国工場では2014年に工場全体の労組結成投票が行われたが、「労働組合を造れば州政府補助金を打ち切る」と叫ぶ共和党勢力と反労組グループが介入して、投票は712対626でUAWが破れ、それ以来双方に激しい対立が続いている。
 世界各地のVW工場には、米国を除いて、すべて労働組合が存在し、ドイツのVW本社も時間給および給与労働者双方を代表して労使協議を行う“労働協議会”の設置を希望しているが、米国では労働組合がなければ協議会は設置できない。

米国パイロット労組に職場復帰命令

 米国の格安航空、スピリット航空で協約交渉中のパイロットが会社に圧力をかけるためか乗務拒否を行い、このため300便が欠航して20,000人が影響を受けた。
 そのため、怒った乗客がフロリダ空港で騒動を起こして、職員及び警官と衝突する事態が起きた。連邦裁判所判事は翌日に国際航空パイロット協会労組(ALPA)に対し職場復帰を命令し、同労組はその後、「スピリット航空パイロットは職場復帰命令に従う。正常な状態への回復を目指すが、会社の協力を求める」と声明した。

 これに対し会社は「御迷惑に心から謝罪する。少数グループが大勢を道連れにしようとする脅迫行為だった」と述べ、「航空産業の労使関係を規制する“鉄道労働法”に基づきパイロットと労働組合を提訴する」と言明した。
 フロリダを拠点とする同航空は片道$20-30という格安なだけに乗客も多く、フライト・キャンセルによる混乱も大きい。しかし顧客満足度は3年連続全米最低、昨年の定時運航(時間通りの運航)記録では全米最悪であった。

 最近の米国航空業界では乗客とのトラブルが続発しており、話題となった4月のUAの乗客引きずりおろし事件、アメリカン航空で泣き叫ぶ母親から無理やりベビーカーを引き離した乗務員、デルタ航空で乗客同士の喧嘩仲裁に入ったパイロットが女性を蹴ったとする件などが報告されている。しかし半面、行儀の悪い乗客の増加も問題視されている。

米国失業率4.4%、完全雇用に近いか

 4月の米国雇用の増加は211,000人を数え、失業率は4.4%と2007年5月以来10年来の最低を記録した。一方、時間給は前年同月比2.5%増加の$26.19であったが、上昇率は過去数カ月に比べて鈍っている。

 雇用の増加はトランプ大統領が公約した鉱山や製造業にも見られるが規模は小さく、多くはレジャー、接客、教育、医療などのサービス産業にみられた。4.4%の失業率は積極的に仕事を求めながらも就職できない人たちの比率だが、就職を諦めるか、またはフルタイム希望だがパートで我慢する人たちの潜在失業率も2007年以来最低となる8.6%に落ちた。

 しかし、経済状況をみると賃金上昇は低く、生産性も低率に推移しており、生産性の向上がトランプ政権の大きな課題といえる。また人種別の失業率では白人の3.8%、アジア系の3.2%に対し、黒人は7.9%、ヒスパニックは5.2%を数え、新卒学生への雇用機会の拡大と同時に黒人、ヒスパニックへの対策が叫ばれる。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.