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No.451(2017/5/1)
EU離脱 アイルランドの労働者への影響

 イギリスのブレグジット(EU離脱問題)は国境を接するアイルランドの労働者にとっても、大きな影響がある。アイルランドはイギリスへの経済的依存度が高く、イギリスのEU離脱によって化学薬品産業を除くアイルランドの多くの中小企業とその労働者の雇用に多大な影響があることが懸念されている。アイルランド労働組合会議(ICTU)は本部を首都ダブリンにおき約80万の組合員をもつアイルランド最大の労働団体で、ITUC(国際労働組合総連合)、ETUC(欧州労連)、OECD-TUAC(OECD労働組合諮問委員会)に加盟しているが、ICTUもTUC(イギリス労働組合会議)同様、労働者を守る立場からブレグジットに重大な関心をよせ、ブレグジットによって労働者が犠牲になってはならないと、政府に対し、該当する業種の労働者に対する「早期の警報」と再訓練等、さまざまな要請運動を展開している。

 アイルランド島の北東部は北アイルランドとしてイングランド、スコットランド、ウエールズとともにイギリスを構成しており、ICTUはイギリスの北アイルランドの活動拠点としてベルファストに北アイルランド委員会(NI-ICTU)の事務所を構えている。NI-ICTUは36加盟組合25万人を擁しイギリスの通信労組(CWU)や鉄道運輸労組(RMT)や流通関連労組(USDAW)などTUC傘下の産別も加盟している。

 北アイルランドとアイルランドとは約500キロの国境で分けられている。これまで国境が問題視されることはなかったが、イギリスのEU離脱が国民投票で決まったことから、にわかに注目されるようになった。イギリスがEUを脱退するとイギリスとアイルランドの国境はEUと非EUの国境ともなるためである。ICTUは北アイルランドを含むアイルランド島内の人の自由な移動を維持するよう、アイルランドとイギリスの両政府に求めている。また、EU指令によって守られていた労働者の諸権利が剥奪されないようにしなければならないと強調している。この点についてETUCもアイルランドと北アイルランドの特別な関係についてブレグジット交渉のなかで取りあげるよう呼びかけている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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