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No.445(2017/3/8)
注目の南米・エクアドルの大統領選、経済、社会政策が争点
エクアドル労組の行動

 南米・エクアドルでは、2月19日、10年間政権の座にあったラファエル・コレア氏の任期満了に伴う大統領選挙が行われた。その結果、コレア氏の後継で労組などの支援を受ける現副大統領のレニア・モレノ氏が二位で野党系の銀行家・ギジエルモ・ラソ氏を引き離してトップに立った。しかし、コレア氏の得票率は当選の要件である40%以上に僅かに足りず4月2日に決選投票が行われることとなった。第三位の候補はラソ氏を支援するとしており、接戦が見込まれる。南米では、この間、ブラジル、アルゼンチンをはじめ、労組が支援する政権の退潮が続いることから、その中で、これまで比較的安定していた同国の政権の行方に、国際的な注目が集まっている。

 今回の選挙の主たる争点は、経済・社会分野ならびに外交関係の政策にある。これまでのコレア政権は福祉政策を重視し、対外的には反米左派路線といわれた。南米では第4位の産油国であり、資源ナショナリズム型の政策を維持して内政を重視してきたが、国際的な原油価格の下落が打撃となっている。一方の野党候補は、資源の開発と輸出増に向けて外資の積極的な導入を訴え、内政面では経済・社会分野の規制緩和による経済活性化を訴えている。外交についてはこれまでの政権による反米的な姿勢の修正を表明している。この面では、米国におけるトランプ新大統領の誕生が選挙にどのような影響を与えるのかも注目される。

 内政の焦点の一つは労働分野の規制のあり方についてである。現モレノ大統領は、雇用政策を重視してきたが、2014年に、「雇用の正義と家事労働に関する法律」を制定し、2015年から派遣労働などの間接雇用を禁止するとともに、家内労働者の労働者性を認めた。同時に、女性、少数民族ならびに性的マイノリティの保護強化、さらに年金など社会保障の適用拡大を行った。そして、その施行に向け労働団体などの参加による「労働と賃金に関する国家委員会」を設置している。これらの施策は、労働組合などから支持されているが、今回の選挙では、野党側は規制緩和の必要性をアピールしている。

 エクアドルの労働組合は、1930年代に活動を始めたが、第二次世界大戦後は、数次のクーデターをはさむ政治の変動のなかで離合集散を繰り返した。2007年のクレア政権発足以降、同国の民主主義は安定を回復し、労働団体としては、ITUC加盟のエクアドル全労働者組合連合(CSE)、エクアドル中央労働者階級連合(CEDOCUT)のほかWFTU系のエクアドル労働総同盟(CTE)などが活動を続けている。これまでの政権の労働政策については、最左派以外の労働団体は概ね評価をして支持をしているが、経済政策については、改革が不十分との声がある。また、クレア政権がメディアなどの批判勢力への締め付けなど強権的な姿勢を見せることについて、労組の中には裏切られたとして批判を強める勢力もある。

 なお、エクアドルはわが国では馴染み深いとはいえないが、南米の親日国であり、日本とは自然環境が似ているところがある。2015年8月の中部のコトパクシ山(標高5900メートル)の140年ぶりの大噴火、2016年4月に2万人上が被災した地震災害では日本からの緊急援助も行われた。また、来年(2018年)は外交関係樹立100周年を迎えることから、両国で記念行事の準備が進められている。そして、今日、派遣労働や男女平等をめぐる働き方の改革などでも共通の話題が増えており、労働分野を含むさまざまな分野での交流の進展が期待される。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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