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No.443(2017/3/3)
モンゴル労組、生活不安のなかでの燃料価格上昇に抗議
CMTUの声明

 モンゴル労働組合連盟(CMTU)は、2月8日、冬季の国民生活に直結する燃料価格の上昇が、勤労者、国民の生活を圧迫しているとして、政府に対策を強めるよう求めた。これは、モンゴルの経済不振とそれに伴う生活不安がすすむなかで、1月には石油関係の輸入関税の大幅引下げが行われたにもかかわらず、2月に入り、石油の小売価格が突然上昇したことへの抗議である。

 今日のモンゴルの生活では、冬季には暖房に経費が大きく増えるため、石油燃料の価格を安定させることが政府の大きな課題となっている。とくに、昨年は、経済不況が深刻化し、国民の生活不安が増すなかで、冬場の燃料価格の安定は最優先の内政課題の一つであった。今年に入り、その価格が上昇の気配を見せたことから、政府は1月25日に、ガソリンの輸入関税をトン当たり16万トグロクから5万トグロクへと7割程度の大幅な引下げを行い、ディーゼル燃料についても18万トグロクから7万トグロクまで6割程度引き下げると発表した。しかしながら、2月はじめに、モンゴル各地では、ガソリンスタンドでの小売価格が一リットル当たり平均で100トグロクほど突然上昇し、勤労者や市民からの反発が広がった。

 この事態を受けて、CMTUは声明を発表、政府に対して、燃料価格上昇の原因解明のため労組を含めたワーキンググループの設置、民間セクターによる損害賠償の請求増大への対応、卸売り価格の最適化と持続可能な小売価格の実現を求めるとしている。これに対して、モンゴルのエネルギー省は、今後、輸入関税の減税効果が表れる見込みであり、今回のような突然の価格上昇は防げるとしているが、その理由については明らかにしていない。

 現在、モンゴルの経済は、1990年代の混乱期以来の苦境に陥っている。その背景には、輸出を支えてきた鉱物価格の下落、最大の取引先である中国経済の低迷、外資規制による資本流出などがあり、通貨のトグロクのレートも大幅に下落した。また、国家財政の悪化も続いており、とくに2018年償還予定の外貨建て債務の返済に見通しが立たず、金融市場では債務不履行(デフォルト)を懸念する声も出始めている。昨年6月の総選挙により4年ぶりに政権復帰を果たした人民党はIMF(国際通貨基金)の支援を受けることを検討している。

 これに対して、野党の民主党や市民団体などは、IMFの支援と引き換えに社会保障や教育費の大幅切り下げ、賃金引下げなどが起こるとして反対しており、友好国などの支援を重視すべきと主張している。左派勢力の一部には、社会主義に復帰して隣国のロシア、中国の援助を求めるべきとの声まで出ている。これに対して、CMTUは、人民党政権に経済の立て直しを要求するとともに、公正な経済システムと労働者の生活安定の実現に向けて労働組合との社会契約を行うことなどを求めている。

 モンゴルでは、今年は6月に大統領選挙も予定され、政治のあり方も改めて問われることになる。CMTUは、1917年の創立以来、100周年を迎えるが、同国の経済と社会が重大な局面に直面するなかで、今回の燃料価格の問題をはじめとする諸課題に、勤労者、国民の声を背景に立ち向かうことが期待されている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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