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No.427(2016/11/17)
台湾で完全週休二日制実施に伴う祝日削減への抗議が拡大

 台湾は今年1月から完全週休二日制に移行した。昨年の労働基準法改正で民間部門に週40時間制が導入され、公務員関係は既に完全週休二日となっていることによる。そして、台湾政府は、この改正とともに、祝日(法定休日)の数を現行の19日から7日削減して12日とすることとし、そのための法改正が国会で審議されている。これに対して、労働者や市民、さらには観光業界などからの批判が強まり、11月に入ると国会周辺で大規模なデが行なわれるなど、抗議活動が拡大している。

 この完全週休二日制の実施は、政権交代以前の国民党政府により導入されたものである。昨年5月に労働基準法が正され、隔週週休二日制(二週84時間制)から週40時間制への移行が行われた。従来は、公務員のみ完全週休二日制であり、官民格差として民間企業の労働者や国民の不満が高まっていた。そのため、二大政党である国民党、民進党ともに完全週休二日制の推進を公約に掲げていた。しかし、台湾の経済界は、途上国の追い上げを受ける企業にとり死活的な問題であると訴えた。産業界の代表は、完全週休二日制の導入は、労働団体の言うようなウイン・ウインの政策ではなく、「ルース・ルース(“損失が損失を呼ぶ”)」をもたらすと主張した。政府が民間の法定休日の7日削減を労働基準法の施行規則に盛り込んだ背景にはそのような事情もある。

 今年の1月16日、総統選挙で民進党の蔡英文主席が圧勝し、総選挙(立法院選挙)でも同党が結党(1986年)以来はじめての単独過半数を獲得した。民進党は祝日削減に反対する姿勢も見せていたことから、労働組合や市民は、新政権に対して施行規則の修正を働きかけた。2月には「7日の休日を900万労働者に返せ」とする労働団体を横断する集会やデモが行われた。民進党は、労働側の主張は理解できるとしつつ、具体的な政策変更には協議が必要として、政府に再検討を求めた。政府は、公務員は完全週休二日であるが祝日(法定休日)は12日であることを強調しつつ、7日のうち2日は休日とすること、取得の権利を強めるなどの補強をして、改めて祝日削減の法案を国会に提出した。また新政権のなかにはかつての専制政治を想起させるような祝日は取り止めても良いとの意見もあった。

 しかし、この秋の国会審議がはじまると、休日削減反対を訴える労働組合、市民や業界などの力は勢いを増し、「123連盟」(現行休日数123日の削減を阻止する連帯組織)が結成された。「123連盟」は、完全週休二日制の導入は日本、韓国に大幅に遅れたのみならず、中国にも先を越されたとして、民間の法定休日削減ではなく、公務員を民間並みにすべきと訴えた。また、専制政治をイメージさせる祝日はその趣旨を変更して残すべきと主張した。

 10月には「123連盟」が集会、イベントやデモを繰り返し、さらには国会(立法院)の動きを監視する「パトロール隊」も組織された。さらに、11月に入ると、国会の夜間パトロールが行われるようになり、抗議団によるハンガーストライキも始められた。一方、台湾では休日出勤の割増率が100%であることから、休日減に伴う収入の低下を心配する労働者の声もある。先進国型の完全週休二日に向けて生みの苦しみのなかにある台湾であるが、政労使の対話を通じて、アジアの民主主義のリーディングカントリーらしい解決がはかられることが望まれる。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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