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No.425(2016/11/16)
中国の労働事情

 10月7日に行われた中国・タイチームの労働事情を聴く会から、中華全国総工会(ACFTU)の報告の一部を紹介する。

中国の労働情勢の全体状況
 2015年の中国の実質GDPは前年比6.9%増加し、消費者物価は1.4%上昇した。2016年の第一・四半期をみると、GDPの伸び率が6.7%、CPIが2.3%となっている。だいぶ鈍化してきたが、国民の1人当たりの平均可処分所得は2万1,966元であり、伸び率は7.4%。都市部の失業率も4.05%と比較的低い水準であり、労働雇用状況は基本的には安定していると言える。

中国の労働組合が直面している主な課題とその対策
 ACFTUが抱える課題は、まず、労働年齢人口の増加速度に歯止めがかかり、労働年齢人口が減少し続けている点である。次に、労働者の技術の質が経済構造の調整および産業転換によるレベルアップの要求に対して、依然としてギャップがあることである。三つ目は、労働者の権益実行(権利の行使)にはまだ障害がある点である。四つ目は労働者群の構成に依然として大きな差異がある点(労働者間の格差)である。五つ目は、労働者の思想に多種多様かつ多元的な変化が見られる点である。
 次に労使関係の変化という点では、現在のところ中国の労使関係は全体的として安定を保っているものの、労働争議も比較的多く、集団争議が頻発している。これは、製造業、建築業、サービス業での発生率が高く、主な発生主体は農民工、派遣労働者となっている。労働者の主な要求は賃金、社会保険料、経済的補償等を含む経済的利益となっている。これらはすべて、労働組合が深く研究し、把握しなければならない問題である。

中国の農民工が直面している課題及びそれに対して組合が行っている対策
 2014年の統計によれば、農民工の人数は2億1740万人。そのうち、出稼ぎをする農民工の人数は1億6,800万人となっている。主な課題としては、まず、農民工が労働関係の中で十分な保護を受けていないということ、農民工が都市部へ流れていく際、制度上の障害が多くあるということ。農民工の政治的、社会的地位は総じて低く、出世のチャンスがなかなかないという問題がある。
 総工会は、農民工の労働組合への加入を推進するとともに、戸籍制度の推進、選挙制度の改革を重視し、農民工の党大会、代表大会での比率を引き上げるという取り組みをしている。

労働派遣が抱えている課題及びそれに対する組合の対策
 2012年の総工会が行ったアンケート調査によれば、全国の派遣労働者の数は4,207万人余りで、ほとんどの業界で派遣労働者を使用している。平均年齢は33.2歳で教育レベル、また、技能レベルにおいては比較的低いとされる。雇用が不安定で、雇用側は、いつでも勝手に労働契約を解除される。賃金は低く、キャリア形成の機会も少ないということである。派遣労働者の問題を解決するための労働組合の課題は、労働組合の役員と派遣労働者の連絡、意思疎通が十分に図られていないことである。次に、労働組合の加入についても、派遣元と派遣先のお互いの職責と役割がはっきりしないため、どちらの労働組合に加入してもらうか、責任を押しつけあっている状況にある。
 派遣労働者の問題を解決するためには、まず法律の整備が重要である。そして法律ルールの実施を徹底しなければならない。例えば政府との連絡会議、また、政労使の三者協議制度、そして、団体交渉制度、労働者代表大会など、さまざまなルートを通じてこの問題に取り組むことである。2番目には、派遣労働者の組織化である。できるだけ多くの派遣労働者を労働組合に取り込むことで、労働組合の枠組みの中で彼らの利益、権利を守り、サービスを提供していくことである。3番目は政労使三者で、派遣労働契約のモデルケースをつくることである。根本は派遣労働者も同一労働同一賃金であることを明確にしなければならない。4番目は、国営大手企業の労働雇用制度の改革である。政府と協力した遵法闘争の展開、派遣労働者の労働組合への加入の推進、労働派遣契約の締結、派遣工の雇用契約への転換の促進を行っている。また、労働組合の強みを生かして、派遣労働者に関連する法律法規の啓蒙、啓発活動を展開していくことである。派遣労働者の権利意識、法律意識を強くして、自分の権利を守ろうとする意識を高めていくことが重要である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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