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No.419(2016/10/14)
ボリビア鉱山労働者のストライキで内務次官が殺害

 8月28日、ボリビアの首都、ラパス南方130キロのパンドゥロ町で鉱山労働者のストライキ調停に向かっていたイリアネス内務次官が誘拐された上に、頭部を殴打されて殺害された。
 争議には鉱山法と賃金問題が絡んでいるが、労働者はダイナマイトで武装し機動警官隊と衝突して、労働者3名も殺害され、ハイウエー数か所が閉鎖された。“全国ボリビア鉱山協同組合連合会”のマナミ会長ほか40名が拘束され、数名が内務次官殺害の嫌疑を受けている。
 ボリビア経済は輸出の70%を天然ガスや亜鉛、錫、金銀など鉱山資源に依存しており、この重要産業の国有化や民営化といった鉱山法制定には常に関係者の利害が衝突して、今までにも流血の惨事を繰り返してきた。鉱山法を審議する主要な関係団体には国営公社(COMIBOL)とその労働組合、協同組合、そして民間企業団体の3者があり、利害が異なる。1986年以降のCOMIBOL鉱山閉山の後、有志の集まりのように生まれた協同組合鉱山には100,000名の鉱山労働者が働いているが、近年の協同組合は多国籍企業への傾斜を強めている。
 こうした中でモラレス大統領は事件を政権転覆の陰謀だとして非難した。大統領は先住民出身で農業組合運動家として活躍し、コカ生産組合代表として社会運動を主導、2005年に大統領に当選した。電気通信、鉱山の国有化による資金で社会福祉を拡充し、貧民層に幅広い人気を持つ。しかし国有化による非効率化の弊害も大きい。

ブラジル新大統領が「労働権は制限しない」と声明

 ブラジル上院におけるルセフ大統領の弾劾審議が61対20で可決され、テメル暫定大統領が正式に新大統領に就任する。しかしルセフ大統領は最高裁判所に提訴して、争う構えである。また与党の労働者党はルセフ罷免の際には労働組合の協力を得て総選挙を要求するとしている。
 こうした中でテメル大統領は噂として流れている労働法への制限を公式に否定して声明を発表し「退職年齢の70歳ないし75歳への引き上げ、病欠休暇の廃止、奴隷労働の合法化などが報道されているが根も葉もないことだ。オフショア油田の民営化や労働法改定もしない。こうした虚偽の報道は暫定政権に対する無責任な中傷だ」として強く否定した。他方、ミレレス財務大臣は「政府の方針は支出を抑えること、そして年金改革だ」と述べている。

アルゼンチン労働組合が公務員削減に抗議して大規模デモ

 アルゼンチンの労働組合が昨年12月発足のマクリ大統領政権の公務員削減と各種補助金削減に抗議して、首都ブエノスアイレスで数万名による大規模なデモを展開し、各地で道路を閉鎖した。
 労働組合のミシェリ事務局長は「この抗議に応えなければ、対決しかない。全国ストを起こす」と言明した。
 アルゼンチンは長期にわたり公務員を大幅に増員し優遇してきたが、現在、キルチナー前政権による巨額の財政赤字に加え、隣国ブラジルへの輸出も同国の景気後退で50%減少するなど大きな経済危機にあり、物価の高騰も激しい。物価については前政権による計算方法の変更で不透明感が指摘され、マクリ政権が統計局組織の改編を進めているが、民間機関の試算では47%に達するとの数字も出た。
 トリアカ雇用相は「正確な統計数字は投資を呼び込むなど経済への信頼回復の鍵となるものだ。その上に経済を回復させてゆくが現在はその過程にある」と呼び掛けた。

人種間賃金格差が40年来の最大に拡大

 シンクタンクの経済政策研究所(EPI)の調査によると、2015年の米国人種間格差が過去36年間に最大に拡大し、白人・黒人の差が大きい。その中では教育機会の均等化にも関わらず、黒人青年の賃金が低く、全人種を含めた賃金全般を停滞させる滞要因となっている。
 同じ都市や地方で同等の教育や経験を積んだものについての調査では、黒人男性の賃金は白人よりも22%低く、女性は11.7%低かった。
 さらに1979年以降の中位数賃金は、全労働者について生産性上昇を下回っているが、黒人の上昇鈍化がさらに格差を拡大させており、労働組合の衰退が一つの原因と考えられる。
また、生活向上に教育の必要が言われる中で、カレッジ卒業の黒人賃金が低下しており、1980年代に10%程度の格差であったものが2014年には18%に拡大した。この傾向はリーマンショック以降強まっており、明らかに人種差別が認められるとしている。
 調査報告書は格差解消に向けて政策面からの支援の必要を指摘しており、雇用や昇進についての法律制定、有識者による対策会議の常設、そして連邦最低賃金の引上げを提言している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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