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No.418(2016/10/13)
2015年労働組合組織率に見る強いニューヨーク労組

 去る1月発表の労働省による2015年労働組合調査の要点は下記のとおりである。

  • 2015年の労働組合組織率は11.1%(1,480万人)で昨年と変わらないが、統計を取り始めた1983年の20.1%(1,770万人)から着実に減少している。
  • 公務員の組織率は35.2%(720万人)、民間部門は6.7%(760万人)。公務員の中でも地方公務員は41.3%を示し、教師、警察官、消防士が高い。民間では電気・ガス・水道の公益事業が21.4%と高く、運輸・倉庫の18.9%、教育事業13.7%、通信13.3%、建設13.2%が続く。低い部門は農業・関連1.2%、金融1.3%、食品飲料1.5%、ITの1.7%がある。
  • 男性の組織率は11.5%、女性は10.6%。
  • 人種別組織率では黒人13.6%、白人10.8%、アジア系9.8%、ヒスパニック9.4%。
  • 労働組合員の中位数賃金$980に比べて非組合員は79%の$776。
  • 州別の組合組織率はニューヨーク州が24.7%で最高、最低は南部地方のサウス・カロライナ州の2.1%である。

 ニューヨーク市立大学の教授陣はこの発表に示されたニューヨークの労組組織率の強さについて調査を行った。
 それによると、ニューヨーク市の組合員数は過去3年間増加しており、2012年の組織率21.5%が2015年には25.5%に達し、これは全国平均の2倍以上にあたる。
 原因はファスト・フード店の$15運動の成功に加えて、リーマン・ショックの景気後退で失われた建築とホテル事業の雇用の復活にある。特徴的なのは公務員組織率の高さで、市及び州共々70%が組合員であり、民間でも市が19%、市を除く州が13%となっている。州全体の組合員199万人の中で半数近い90万1千人がニューヨーク市に在住する。
 ニューヨークの最低賃金については、市が2018年までに$15、州は2021年までに$12.50に増額することが決められている。

アメリカの大学で労使紛争相次ぐ

 アメリカの大学で財政難を理由として労使紛争が相次いでいる。
 ペンシルバニア州では14の大学教職員5,500名の労働協約が2015年7月に期限切れとなって1年が過ぎているが、大学側は健康保険料の従業員負担増、臨時職員の増員、給与の減額、退職者健保の廃止を求めている。
 これに対し教職員を代表するペンシルバニア州大学教職員協会労組(APSCUF)がスト権確立の投票を行ったところ、80%以上の投票率で賛成90%を得て、随時ストライキに入る状況が生まれた。
 これに対し使用者側の大学連合会では「粘り強く交渉を続けていきたい」としている。これら大学にはブルームバーグ、チェイニー、エディンボロ、インディアナ、マンスフィールド大学などがある。
 他方、ニューヨークのロングアイランド大学では、これも健康保険料補助の打切りと低給与の臨時職員導入をめぐり、大学側のロックアウトが12日間続いたが、現行協約を2017年3月まで延長することで当面の紛争を回避した。教職員400名は大手のアメリカ教員協会労組(AFT)に所属する。

農園労働者にも8時間以上に時間外手当

 カリフォルニア州で農園労働者にも1日8時間以上、1週間40時間以上の労働に150%の残業手当が認められることになった。
 従来は1日10時間以上、1週間60時間以上という1975年制定の法律に準拠していたが、全米農業労組(UFW)は一般労働者並みの改定を要求して闘いを続けてきた。
 UFWのロドリゲス現会長は「長年カリフォルニア農園労働者を阻んできた壁を打ち破ることができた。現状の労働者不足に対処するには収入を増やすか、出来なければ収穫を減らすしかない」と述べたが、農園経営者団体では「労使双方によくない。野菜価格の値上がりと農園の廃業を招く。農園の仕事は太陽が沈むうちに終われるものではない。雨の日、寒い日には仕事ができないこともある。残業手当支払いはきつい。人手を増やさざるを得ないができるかどうか」と述べる。
 民主党が強いカリフォルニア州にあっても法律改定は農園経営者の強い反対により容易ではない。 1970年には伝説のUFW指導者シーザー・チャベツ会長の指導の下で強力なストライキが打たれ、その結果1975年に初めての残業手当の支給が命じられた。
 その後の改定については、労働者に好意的なブラウン知事(民主党)も実態を理解して拒否権を発動したこともあったが、今回は見解を表明することなく議会承認の法案への署名に踏み切った。導入は2019年だが本格実施は2022年、25名以下の小農場では2025年以降の実施となる。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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