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No.415(2016/10/1)
日本主導の「アフリカ開発会議」(TICAD)、ケニアで開催
~連合が初参加、アフリカ労組と共同声明~
連合とアフリカ労組の共同声明採択(連合HPより)

 8月27、28日の両日、日本が主導する「アフリカ開発会議(TICAD: Tokyo International Conference on African Development)」が初めてアフリカ(ケニア・ナイロビ)で開催された。日本とアフリカ54カ国、その他の52カ国、74の国際機関や報道陣など合わせて約6000人が参加した。日本から安倍首相、政府関係者、77の企業のトップクラス、自治体関係者、NGOなど千人を上回る参加があった。連合からは、逢見事務局長はじめとする代表が初めて参加、会議前日には「アフリカ労組統一機構」(OATUU)とワークショップを行い「共同声明」を取りまとめるなど、労働者からの意見の反映につとめた。

 TICADは、アフリカの開発と平和を促進するための日本とアフリカ諸国のフォーラムとして1993年に発足した。2010年からは共催者に「アフリカ連合委員会」(AUC)が加わり、日本・アフリカサミットの役割も担っている。会合はこれまで5年毎に5回、いずれも日本で開催されている。前回、2013年に横浜で開催された会合では、安倍首相が「21世紀半ばに世界の経済成長の中心となるであろうアフリカへの投資の重要性」を強調した。今回のナイロビでの開催は、アフリカ諸国からの強い要請に応えたものだが、2000年代から支援を強める中国の動向も意識されているといわれる。

 安倍首相は、今回の開会スピーチで、日本が向こう三年間に、1000万人の人材育成、官民での300億ドルの協力など、アフリカの未来への質の高い投資を行うことを表明した。また、会合のテーマとしては、今日のアフリカの情勢とこの間の経済成長も踏まえ、「経済の多角化・産業化」、「強力な保健システムの実現」、「治安や災害の問題からの社会の安定化」の3つが設定された。そして国連が昨年採択したSDGs(2030年アジェンダ)なども基本的な課題として論議され、ITCADの「ナイロビ宣言」を採択した。また、今年からは3年ごとに日本とアフリカで交互に開催することも確認された。

 連合と「アフリカ労組統一機構」(OATUU)によるワークショップは、会合の前日、8月26日にナイロビのホテルで行われ、連合、OATUU、アフリカ10か国の代表など31名が出席した。開会にあたり、OATUUのアトォーリ会長、メズード書記長はアフリカの社会情勢や労働組合の組織率低下に触れ労組間の協力の強化を呼びかけた。また、連合の逢見事務局長は、TICADによるアフリカの開発がディーセント・ワークを伴うものとなる必要があると述べた。アフリカ諸国からの参加は、主催国ケニアのほか、エジプト、ガーナ、スーダン、チャド、チュニジア、トーゴ、ナイジェリア、南アフリカ、ボツワナである。

 このワークショップでは、8月26日の午後に、活発な討論を踏まえて、連合とOATUUの「共同声明」が確認された。その内容は、TICADに対し、「SDGsを踏まえた持続可能な開発と投資、ディーセント・ワークとジェンダー平等、貧困、開発、教育などのアフリカの重い課題への対応、インクルーシブな社会とパートナシップの強化」の実現などを求めるものである。なお、OATUUはアフリカ諸国による地域組織「アフリカ連合」(AU)から諮問的な地位を与えられており、TICAD共催者のAUCはその行政委員会である。

 今回のTICADの成果は、前述の「ナイロビ宣言」やその「実施計画」として確認されている。そこでは、市民団体や労働組合の働きかけも踏まえて、「SDGsのグローバルな交渉の促進、企業の社会的責任を育むための市民との協力体制、マルチ・ステークホルダーの関与」なども示された。労働の分野については、「女性と若者の雇用を創出することの重要性、民間部門のきわめて重い役割」などが盛り込まれたが、「ディーセント・ワーク」の明示には至らなかった。連合は、「TICADの枠組みに基づく協力が、アフリカのディーセント・ワークを促進するものとなるよう注視していく」としている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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