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No.409(2016/9/1)
バングラデシュ、ネパールの労働事情

 7月29日に行われたバングラデシュ・ネパールチームの労働事情を聴く会から、バングラデシュとネパールの労働事情についてITUCバングラデシュ協議会(ITUC-BC)とネパール労働組合会議(NTUC)の報告の一部を紹介する。

<バングラデシュの労働事情>

【インフォーマルセクターの現状】
 労働者の87%がインフォーマルセクターで働いている。このセクターの労働者は一時的な契約に基づく派遣労働者、アルバイト社員であり、労働組合組織率は著しく低い。
 仕事がないと賃金は支払われず、仕事は不安定で保護措置はない。賃金は低く、社会保障はなく、労働時間は長く、休日はない。バングラデシュの労働法はインフォーマルセクターで働く大半の労働者を労働者として認可していないため、労働人口のほとんどの労働者は労働法で定められた権利を受けることができない。

【労働組合が直面している問題】
 組織率が4%と低いため、労働組合が労働者の権利を守る上で重要な役割をはたせていない。したがって、組織化が非常に重要で、最大のチャレンジである。同時に、組合同士の方針の溝を埋めること、共通の主張が欠けていることの解消、インフォーマルセクターの未組織労働者を団結させること等が、労働組合にとっての一番の目標である。
 
【最低賃金】
 最低賃金評議会は今まで42のセクターにおける最低賃金を発表した。その中で、1986年のマッチ工場向けの751タカが最低で、2012年の建築セクターの9882タカが最高だった。賃金の改正がきちんと行われていないこと、約束通りに賃金が支払われないこと、賃金を不当に減らされること等が労働紛争の主な原因となっている。
*1タカ=1.28円

<ネパールの労働事情>

【インフォーマルセクターへの戦略】
 雇用状況は、フォーマルセクターが縮小し、インフォーマルセクターが拡大しており、インフォーマルセクターが90%以上を占める。そこで、すべてのインフォーマル労働者を政府機関へ登録していこうとしている。ナショナルセンターレベルでの使用者との交渉、中央の三者構成機関と地方機関の連携によって、労働法に基づくインフォーマルセクターの管理を目指している。
 また、セルフヘルプグループと協同組合の設立を通して、すべての人への教育と医療費の無償化、社会保障や労働者保護のためのプログラムを提供している。こうした自主組織内では、特に若者や女性を優先している。

【海外出稼ぎ労働】
 海外への出稼ぎ傾向が大きく、2015年だけで職を求め52万人が外国で労働中である。30%の家庭が外国送金を受領しており、年間平均80,446ルピーを受領している。これは、南アジアにおいて上位で、世界的にも5番目となる。学生や有識者の国外への頭脳流出についても問題になっている。
 主な出稼ぎ先は、クウェートなどの中東、マレーシアなどの東南アジアで、男性労働者が電気や水道の部門で働いている。女性はイスラエルで家内労働者として働いている。こうした中、エージェントと交わした契約内容と実際に働く内容が異なっているような問題も起こっている。
*1ルピー=0.93円

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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