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No.401(2016/7/5)
カナダ自動車労組が協約交渉方針を策定

 カナダ最大の労働組合、UNIFORの主力を占める自動車労組が今年夏の協約改定交渉を控えて、交渉方針を策定した。
 UNIFOR自動車協議会(20,000人)のクリス・テイラー議長は「要求の最重要項目は新規生産の拡大だ。GMについては新車種の生産、フィアット・クライスラー(FCA)には新塗装工場、フォードには新規のエンジン生産を要求する」と語った。
 しかし現状は、GMのオッシャワの2つの組立工場、そしてセント・カサリンのエンジン・トランスミッション工場ともその存続が危ぶまれており、またFCAでもブランプトン工場生産の乗用車も需要が少なく、今年初めにミニバン生産を開始したウインザー工場やフォードのエセックス・エンジン工場は比較的問題ないが、オークビルの組立工場は存続が難しいなど思わしくない。
 UNIFORのジェリー・ディアス会長は「新規投資だけでなく賃上げ。そして新入社員の初任給の引き上げが課題だ」と述べているが。問題はカナダが依然としてコスト高とされている点である。
 その後、GMは自動運転などの研究開発にカナダで1000名の新規採用計画を発表したが、研究開発などの雇用であり、自動車組立工を増加させるものではなく関連する部品や鉄鋼など周辺産業に5.6人の雇用を産むようなことはない。
 ディアス会長は新規雇用を歓迎しながらも「そういった研究開発はカナダ国内の生産拡大に結びつくものでなければならない。雇用の確保・拡大のない協約は結べない」と語る。

カナダ山火事救援の南ア消防隊がストライキ

 カナダ・アルバータ州で起きた大規模な山火事の消防救援に、南ア政府が出資するNPO団体が2週間の予定で300人の消防士を派遣、6月初めから支援活動を展開したが、6日後に低賃金を不満とする消防士のストライキが起きた。
 山火事は依然として続いており、住民90,000人が避難、国際原油価格にも大きな影響を与えている。
 アルバータ州政府によると、消防隊員一人1日170ドルを支払うことで南アと合意したが、消防隊員がNPOと結んだ契約は南アの通常給与(月200ドル)に加えて1日50ドルの固定給で、そのうち35ドルは南ア帰国後に支払われるとされ、差額の大きさを知った隊員たちがストライキを起こした。州政府は少なくとも州最低時間給の11.20ドルは支払われるべきだとしている。
 1日170ドルは上記の50ドルに加えて南アでの通常給与と付帯費用、管理費、訓練費、旅行準備費用をカバーするが、州政府はその他に航空運賃、宿泊費および食事代も負担する。
 消火活動が1か月に及ぶとすると収支の差額は150万ドルの巨額に上るが、南アのNPO“ワーキィング・オン・ファイアー”は説明責任が南ア政府にあると述べ、南ア政府からは説明がない。他方、ザマ大統領は環境大臣に対し早期の問題解決を指示した。
 このNPO計画は失業中の5,000名の若者対象として始められたが、失業救済事業のため、給与は南アの最低賃金よりも低い。なお、カナダ消防士の場合は1日575ドルが支払われる。

ブラジル暫定大統領の年金改革に2大労組が反対

 ブラジルで弾劾裁判にかけられるルセフ大統領の後任に、テメル副大統領が暫定大統領として就任した。弾劾に対しルセフ大統領は何も悪いことはしていないとして徹底抗戦の構えだが、テメル暫定大統領は早くも年金改革と増税策を打ち出し、5月16日に年金改革の説明会を開いた。
 しかし最大労組でルセフ支持の中央労働者組合(CWU)そして3位のブラジル労働者中心組合(CWB)は説明会を欠席した。この2労組はブラジル900万組合員の42%を占める。他方、計35%の組合員を代表する4労組は出席し、年金改革への討議参加を表明した。現在の年金制度は公務員が50歳代前半に退職しても生活できるもので、財政再建のためには制度改定の必要が求められる。
 他方、増税案については、こちらは経済界が激しく反対している。また新内閣が全て白人男性であることにも批判が集まっている。さらには新政権の主要閣僚の計画相が「検察の汚職追及をやめさせるために大統領弾劾に賛成した」と語る秘密会談の記録が明らかにされた。ゼネストが近いとの噂も強まっており、ブラジルの混乱は続く。

オバマ大統領が残業手当改定に新提案

 米国では割増賃金支払義務からの適用除外要件としては、週給415ドル、年間給与2万3,660ドル以上となっており、それ以上の賃金をもらう者、もしくは役職がつくものには残業手当が支給されない。
 その中でオバマ大統領はその基準を週給913ドル、年間4万7,476ドルに引き上げることを提案した。実施時期は今年12月1日とし、その後は物価上昇に応じて毎年改定されるとしており、2020年にはその額が5万1,000ドルになるとも予測される。
 基準改定は2004年以来のもので、労働組合が長年要求してきたものだが、実施されれば420万人の中間所得層が恩恵を受ける。そして、この改定は過去40年で3度目となる。
 政府関係者は改定について「この改定は医療改革と並んで中間所得層の育成に最も重要な政策だ」と述べている。
 4万7,476ドル以下のサラリーマンには残業時に1.5倍の手当てが付くことになるが、基準の引き上げによって現行7%と言われる対象者が35%に拡大する。中でも女性とマイノリティー、若年労働者に対象者が増加する。
 このため中小企業やNPO、大学などで反対が起きており、共和党からも反対が予測されるが、実際の給与面ではサラリー制度から時間給制度への変更、さらには仕事のスケジュール変更による労働時間の削減も予想される。4万7,000ドル近辺のサラリーマンには4万7,476ドルへの昇給も予測されるが、労働者の中には残業代のないサラリー制度を嫌って時間給に変更するものも多い。

カナダ政府がスパイ疑惑でファーウエイ(華為技術)従業員の永住権拒否

 世界第3位の巨大通信企業、中国のファーウエイ社従業員3名の永住権申請について、カナダ政府はスパイ、テロ、破壊活動の怖れがあるとして、これを拒否する構えである。その他、同社で働く女性と元従業員の夫の永住権申請については同様の疑いで既に拒否されている。
 スマホメーカーのファーウエイ社は世界170ヶ国で操業しているが、カナダについては2010年から事業を開始して、今は650名を雇用している。しかし米国では2012年に下院情報委員会からサイバー・スパイの疑いで尋問を受け、高度技術の政府契約からは除外されている。またオーストラリアでも同様の疑いで全国ブロードバンドには進出できない。
 これに対しファーウエイ・カナダ社では「2008年以来カナダ政府とは良好な関係を保持している。個人のビザ申請と会社とは全く関係がない。今まで従業員のビザで問題があったこともない」と語り、ビザ申請を提出した香港の弁護士は「当人たちはファーウエイ・カナダで働くのではなく、ほかに職を探す計画のようだ。今まで同社従業員10名のビザを申請したがすべて問題なかった」と述べている。
 他方、カナダ政府は拒否した理由は明らかにしていないが、永住権拒否の前例としてテロはあるものの、スパイの前例は少ない。

オキュパイ運動が姿を変えて再出発

 米国金融業界の改革を要求して、草の根運動として世界を動かした“オキュパイ・ウオールストリート運動”が姿を変えて再出発する。
 新たなグループは“テイク・オン・ウオールストリート”と呼ばれ、20以上の労働組合や活動団体が参加して、各州議会や連邦議会に対し法改正を要求して金融改革を目指す。
 主な組織としてはAFL-CIO、アメリカ教員連合会(AFT)、全米通信労組(CWA)などがあるが、AFL-CIOのトラムカ会長は「この運動を議会選挙の公約に乗せさせる」と語る。
 当面の大きな法改正目標は、“繰越利益法”の改定で、これは投資マネージャーが受け取る顧客投資利益の一部を所得ではなく、長期キャピタル・ゲインとして低税率を受けるもので、制度を利用して金融機関および投資家も税逃れをしている実態がある。
 また巨大銀行の解体を目標に、商業銀行と投資銀行の合体を禁じたグラス・スティーガル法の復活、さらには一日数千件もの取引を繰り返す年金基金や巨大投資家への取引税創設もある。ただし組合員のための年金基金も対象にすることに批判もある。
 他方現在の大統領候補の予備選では、民主党のサンダース上院議員は巨大銀行の解体を唱えつつ、講演会でゴールドマン・サックスから報酬を受けたクリントン氏を批判し、共和党のトランプ氏は“繰越利益法”の廃止を唱えている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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