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No.398(2016/6/20)
フィジー労働組合会議(FTUC)が大会を開催、
新たな「三者合意」を踏まえた労使関係の再構築へ

 南太平洋にあるフィジー共和国のナショナルセンター、フィジー労働組合会議(FTUC)は、5月7日、同国の首都、ナンディで、第46回大会(Biennial Delegates Conference)を開催した。フィジーでは、2006年の軍事クーデター以降、強権政治が続き、労働組合の抑圧や幹部の投獄などが見られたが、2014年に民政復帰が行われた。本年1月にはILO(国際労働機構)の理念を踏まえた政労使の「三者合意」が行われ、今回の大会では、それらに基づく労使関係の再構築を軸とする運動方針が確認された。FTUCのF.アンソニー書記長はITUC-AP(国際労働組合総連合・アジア太平洋地域組織)の会長でもある。大会では、同国各界のほか、ITUC、日本の連合、ILOなどの代表からの激励のメッセージが表明された。

 フィジーは、1970年に英国の植民地から英連邦の一員として独立し、この地域の中心的な民主主義国として期待され、太平洋諸国会議(現「太平洋諸島フォーラム(PIF)」、16の国と地域が加盟)の本部などが置かれた。しかし、1980年代後半から、国民の6割弱を占めるフィジー系と4割程度のインド系の住民の対立などを背景に、政治の抗争やクーデターなどが発生した。2006年の国軍司令官によるクーデター以降は、軍事政権のもと民主派や労働組合への弾圧が続き、英連邦ならびにPIFの加盟資格停止に至った。その後、民主化を求めるFTUCや各界の取組み、国際的な呼びかけのなかで、2013年9月に新憲法が公布され、2014年9月の総選挙を経て民政移管が行われたものである。

 フィジーの軍事政権による労働組合の抑圧は、ILOからも厳しい指摘を受けた。労働組合の活動制限や活動家の弾圧については、ILOに繰り返し提訴が行われたが、フィジー政府は2012年のILOミッションに退去を求めるなどの対応を行った。その後、ILOは、2013年に同憲章26条に基づく苦情申し立ての対象国とすることを確認した。これは、提訴に対して政府が弁明を拒否した場合などでの特別の措置である。同国の民政復帰後、今年に入り、政府はILOミッションの受け入れ、労使を加えての「三者合意」を行った。これらにより、ILOは、この3月に申立ての解除を行い、労使関係の正常化が歩み始めたといえる。

 今後、労使関係の再構築がすすめられるフィジーであるが、労働分野の課題は山積している。軍事政権が労働法や産業法の改訂により労組活動を制限したことから、労働組合の組織拡大は立ち遅れている。労働者の半数を超えるといわれるインフォーマルセクターの就労者の劣悪な労働環境も問われており、今回の大会でも組織拡大が論議の焦点の一つであった。最低賃金の引上げも今後の運動の主要な課題である。現行の最低賃金額は産業平均で時給2.3フィジー・ドル(約120円)であるが、大会では「最低賃金4ドル」(4フィジー・ドル=約207円)とするスローガンが確認され、今後、全国的なキャンペーンが行われる方向である。また、労働法制の見直しについても、今後のFTUCの取組みや三者構成の論議が注目される。なお、JILAFは、1999年以降、フィジー労組の若手指導者を継続的に招へいしており、これまでに21名(男性11名、女性10名)が日本でのプログラムに参加している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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