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No.393(2016/5/13)
米国医療改革の分野で貧富の差が縮小

 2014年に発足した“オバマケア”と呼ばれる米国の医療制度改革で、移民を含む低所得層の加入が大幅に増加している。
 貧困層向け医療保険MEDICAID に加入していた6,800万人に加え、2,000万人が新規加入しているが、そのうちヒスパニック系移民が30%を占めて、一般低所得労働者の17%を大きく上回った。
 経済全般で貧富の格差拡大が憂慮される中、この分野は唯一の例外を示しており、ハーバード大学のカトラー教授も「新制度により医療保険の経済格差は明らかに縮小している。ホテル・メイドやハンバーガー店員さんたちが助けられている」と評価する。先進国の中で最低といわれた米国医療制度の改善が期待される。なお残りの30%はアジア系である。
 それでもヒスパニック系には不法移民が多いことから保険に加入しているのは67%程度と言われ、いまだ未加入者が多い。さらに2012年に最高裁が各州による選択権を認めたことから、高額費用の負担を嫌う19の州がオバマケアに参加しておらず、こうした地域に多く住む黒人層も新制度の恩恵を受けていない。
 米国の医療保険である65歳以上のMEDICAREと65歳以下の企業保険に加入出来ない人たちへのMEDICAIDは1960年代に発足したが、低所得者対象の制度はニクソン、カーター、クリントン時代にも実現しなかった。オバマ大統領による現在の法案提出時にも共和党の賛成はなく、その理由には新保険対象の多くが市民ではなく移民であることも影響しているとみられる。
 この新制度は医療保険に加入するときの税金免除の特典と加入しないときの罰金を梃にしているが、高額の保険料や高い免責金額により加入できない人も多い。ある人の例では月額$41の保険料が今年になって106ドルに跳ね上がったケースもある。

FIFAがカタール競技場の劣悪労働条件の改善を約束

 汚職問題で揺れた国際サッカー-連盟(FIFA)にインファンティノ新会長が就任した。
 FIFAは2022年のワールド・カップをカタールで開催すると予定しているが、競技場の建設現場での劣悪な労働条件がたびたび指摘、非難されてきた。
 8つのスタジアムと関連施設の建設には多くの東南アジア労働者が従事しているが、熱暑の中の作業で多くの死者を出しており、また現地雇用主が未熟練労働者のパスポートを管理する「KAFALA」制度の中で、搾取を繰り返す事例が多発しているが、前任のサマランチ会長時代には非難が公式には取り上げられなかった。
 こうした状況のなか、新会長はドーハの現地を視察したのち「我々は真剣に責任を持ち、具体的対策を講じる。カタール組織委員会もFIFAの要望受け入れを表明した」とする声明を発表し、事態の改善を約束した。
 これについてアムネスティの広報担当者は「FIFAはようやく目を覚ましたようだ。確りした対策がなければ、2022年ワールド・カップは移民労働者の血と汗、涙の上に作られるところだ」と述べている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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