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No.392(2016/5/9)
米国務省が新たな人事評価制度を実施、労働組合も大賛成

 米国務省が新たな人事評価制度を実施する。
 当初は本部と12部署に所属する15,000名を対象にするが、2年後には750,000人の職員全員に実施する。米国政府機関最大の国防省によるこの評価制度は、その後各政府機関に拡大適用される可能性が強く、その成否が注目される。

 “New Beginnings”と呼ばれる新制度は、評価の公正と信頼性、透明性を確保するために、職員と管理職とのコミュニケーションの強化を図りつつ、業務の改善を目指すもので、ブッシュ政権が実施した業績・給与リンクの“国家安全保障人事制度”とは大きく異なる。
 以前の制度は200,000名を対象に実施されたが、当初から国防省の労働組合が反対した。その後民主党政権に変わった2009年に廃案となったが、その際、管理職と一般職員、労働組合との協議による新制度の策定が確認された。その後各地で多くの諸会合や労使協議が重ねられて2年前には細部が煮詰められ、昨年春には骨格が作成され、今年2月にガイドラインが公布された。

 全国連邦職員連合会労組(NFFE 10万人)の役員は「協議の過程には素晴らしいものがあった。国防省の文化を変えるに必要な細かい点にまで前例にない注意が払われた」と賞賛し、連邦最大のアメリカ政府職員連合会労組(AFGE 67万人)でも「新制度は国防省の文化を変える。現在そして将来の政策決定について、職員が参加し積極的に取り組む姿が期待できる」と大きく評価している。
 新制度は、従来の5段階評価を3段階の「受け入れ不能」「充分成功」「卓越」に変える。そして職員は一定基準に基づく職務期待値への努力を書面で約束する。一定期間終了時に自己採点をして、それを監督者が最終評点の参考にする。監督者は常に職員を観察しつつ12ヶ月間に最低3回は面談して、職業訓練や啓発の可能性も相談する。「充分成功」レベルに達しない職員には警告を発して、改善を図る。

 こうした内容であるが、NFFE役員は「評点が重要なのではない。第一線の監督者と職員とのコミュニケーションが大事だ。職員は積極的に仕事に従事し、国防省への参加意識を持ち、貢献を果たすことになる」と語り、AFGE役員も「連邦職員はようやくにして国民が理解し評価する方法で自分の価値を示す機会を得た。管理者と協力して、労働者の権利を守りながら、前線の兵士に対し最高の支援を送ることが目標だ。仲良くやれないわけがない」と興奮気味に語る。
 新制度は段階的に拡大、実施され、全員への実施は2018年10月となるが、上級職や特別人事規則で働く職員など、既存の評価制度にあるものは除外される。

大手電話通信、ベライゾン社で39,000人のストライキ

 ニューヨークを本拠とする大手電話通信社、ベライゾン社の労働者39,000人が昨年夏に期限切れした労働協約の交渉をめぐり、ストライキに入った。ベライゾン労組はアメリカ通信労働組合(CWA)と国際友愛電機労働組合(IBEW)に所属する。

 争点は海外への仕事の外注、家族との離散を伴う転勤、医療費の負担増などであるが、ストライキ後の業務の状況をみても、すでに外注業者や管理職などが代行しており、早期の解決は難しいとみられる。
 加えて、顧客対応については2年前からのウエッブ・システムへの移行により、労働者が従事しなくても当面は凌げる状況にあることが、早期解決を困難にしている。2014年には、ウエッブや電話の自動案内で、受信トラブルやルーターの取り扱い、請求書への質問などを解決していたのは、顧客のなかの20%足らずにすぎなかったが、現在では60%がそこで解決できるようになった。その間、ルーターなど各種機器のメンテナンスも自動修復機能が備わっており、従業員は顧客対応により多くの時間を使える状況も生まれた。

 会社は1年前から、一般社員や広報、税務、さらには法務の担当者にも顧客対応訓練を実施しつつ、コール・センターにも勤務させるようになった。オンライン会議の技術を利用して訓練を行い、管理職がバケツ・トラックに乗車して野外業務を行うこともあり、さらにはタブレットを携帯して顧客対応に当たることも多くなった。

 労働組合もこうした新技術開発による業務の変革については争うつもりはない。40年勤務のベライゾン・ローカル労組、アーウイン委員長も「技術進歩による変革は理解している。仕事が迅速かつ容易になり、改善された。しかし、外国へのコール・センター移転と転勤による労働者と家族の離散問題は譲れない。インターネットとスマホが無かった1983年の時はストライキが通用したが、今はそうでなくなった」と語る。なお、民主党大統領候補遊説中のサンダース候補はストライキのピケに加わり、クリントン候補も労組との連帯を表明するなど、影響が広がっている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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