バックナンバー

No.387(2016/3/30)
アフリカ労働組合統一会議(OATUU)書記長メズフード氏、TICAD(アフリカ開発会議)への期待などを語る

 今年は、日本とアフリカ諸国による「アフリカ開発会議」(TICAD)の首脳会議が初めて現地(ケニア)で開催されるが(既報)、その日程が8月27、28日の両日となることが固まった。また、それに先立ち、7月には、国連で、安全保障理事会の議長国となる日本が主導して「アフリカにおける平和構築」をテーマとする国際会議が開催される。アフリカの日系企業数も南アフリカの280社をトップに657社(2014年外務省統計)で、この10年でほぼ倍増しており、日本とアフリカの関係は新しいステージを迎えている。
 これらの動きを踏まえ、3月14日に、「アフリカ労働組合統一会議」(OATUU)のアレズキー・メズフード書記長に、スイスのジュネーブで、連合の吉田総合国際局長によりインタビューが行われた。OATUU は本部をガーナ置き、アフリカ各国から73の労働組合が加盟する地域労働団体であり、「アフリカ連合」(AU・本部エチオビア)において諮問的な地位を得ている。AU はアフリカ54カ国のうち、モロッコを除く53カ国が加盟し、将来的にはEU 型の統一をめざす政府間の地域組織である。

―アフリカの労働運動が直面している最大の課題をどのようにお考えですか。
 アフリカ労働運動の今日の最大の問題は「分断」にある。まず、国内での分断がある。その原因の一つは、特定の労働組合に対する政府の援助(補助)にある。もちろん、労働者教育、職業訓練等の労働組合の活動に対する政府補助は他の大陸でも存在するが、アフリカでは政府が労働組合に影響力を持つための補助が少なくない。その場合、労働組合は政府に対して原則的な態度をとることができなくなり、政府からの独立性を原則とする労働運動とは乖離していく。
 一方で、使用者による分断もある。アフリカの54カ国のうち49カ国がILOの87号条約を批准し、法律的には結社の自由や団体交渉権を保障しているが、現実には、それらの権利が保障されているケースは少ない。経営者寄りの労働組合(黄犬組合)を作り、独立系の労働組合を排除しようとする動きも後を絶たない。政府も労働組合の自由な活動を保障する責務を果たし切れていない。そのため、独立したカと使用者の関係は、対立的になりがちである。

―連合、JILAFによる建設的な労使関係構築への支援への評価をお聞かせ下さい。
 連合とILOの労働者活動局による「アフリカ生産性セミナー」(※注:1997年に始まり今日まで継続。当初はJILAFも共催)は、対立的な労使関係からの脱却の良いきっかけである。生産性運動について、初めのうちは、「経営者と協力する必要があるのか」と懐疑的な労働組合指導者も、セミナーへの参加を経て、建設的な労使関係の重要さを認識することが多い。企業の生産性を向上し、利益を労働者に公正に配分するという生産性向上の原則を学ぶ意義は大きい。また、JILAFの招聘プログラムも、労使関係を対立型から建設的なものに転換する重要なきっかけとなっている。私自身、2007年にJILAFの招へいで訪日した。そこでは、企業レベル、産業レベル、国レベルの労使のパートナーシップ、あるいは政府も入れての三者構成主義の重要性を学んだ。社会対話が日本の発展の基盤になっていると思う。

―8月には TICADがアフリカで開催されます。どのような期待をお持ちですか。
 「アフリカ労働組合統一会議」(OATUU)は、これまで欧州連合(EU)や北欧の労働組合との連携を続けており、今日では貿易協定等の枠組み(注:例えば、EUの途上国向けの特恵関税(GSP)等)でも協力がある。しかし、フランスやイギリス等の旧宗主国については、私たち側の偏見かもしれないが、違和感を持つことがある。一方、日本からの支援については、私たちに対する敬意(リスペクト)を感ずることが多い。
 日本の主導による「アフリカ開発会議」(TICAD)については高く評価している。政府もTICADは首脳陣が積極的に参加してきた。今回初めてアフリカ大陸で開催されることを歓迎する。OATUUは「アフリカ連合」(AU)から諮問的地位が与えられている。今後、例えば、連合とOATUU が共同声明を採択し、TICADに要請するなど、協力関係を強化したい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.