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No.367(2015/12/24)
インドネシアの最低賃金、複雑な展開へ

 インドネシアの3ナショナルセンター(インドネシア労働組合総連合KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)は、11月24日から27日にかけて、約300万人の労働者を動員し、政府の最低賃金決定方式(2015年州規則78条)に反対するデモを行ったが、催涙弾や放水を使用する警察機動隊ともみ合いになり、多くの逮捕者をだした。労働者側の要求は、労働法違反の新最低賃金改定方式(機械的に物価上昇率とGDP成長率を加えた率で引き上げる)を撤回し、生活必需品を基にした従来方式で来年の最低賃金を決めることと、2016年の最低賃金増は月50万ルピー(約4350円)とし、各地域最賃はこれを基準に上乗せすることとしている。
 経営側は、早々に新最低賃金決定方式を支持し、以下のように、実際には新決定方式で2016年最低賃金が決まりだしてきた。
 11月24日夜には、ベカシ地域の最低賃金委員会では、2016年最低賃金330万ルピー(約2万8710円)とする答申を出している。この金額は、ジャカルタ地域で決めた310万ルピー(約2万6970円)を上回り、現行の290万ルピー(約2万5230円)を11.5%上回るが、労働組合要求340万ルピー(約2万9580円)をわずかに下回るものだ。ベカシ地域人材局長は、「これは2015年州規則78条に基づくもので、24人の労働者、経営者、ベカシ当局から構成される委員会で決定した。この委員会で反対を表明したのは、1人の労働者代表だけだった」と発表した。SPSI(全インドネシア労働組合連合)のR アブドラベカシ地域委員長は、経済のスローダウンを考慮すれば、この決定を受けざるを得ないと言明している。1018社加盟する経営者側アピンド・ベカシ支部長は、この最低賃金決定受け入れを表明したが、支払いの困難な中小企業は、州知事に支払い猶予を申請すると表明した。
 一方、ジャカルタ地域では、ベカシ地域より低い2016年最低賃金310万ルピー(約2万6970円)を決めた州知事に、SPSI傘下金属労働組合連盟は、この地域はジャワで最も高い最低賃金であるべきと要求し、24日市庁舎に向けデモを行った。しかし、バスキ知事はこれを拒否し、「最低賃金新決定方式に従ったもので、コメントする立場でなく、文句があるなら大統領へ」と言明し、この地域では、政労使対立のままで2016年最低賃金が決まる様相だ。

*1ルピア=0.0087円(2015年12月21日現在)

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