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No.362(2015/12/4)
フォルクスワーゲン労働者が労働組合承認選挙実施へ

 9月にフォルクスワーゲン社(VW)のディーゼル不正問題が発生して、事態が混沌としているVWテネシー工場で、労働組合結成の新たな動きが生まれている。
 230万人を擁するドイツ最大の労働組合IGメタルは、「ドイツ自動車メーカーの中に、米国南部の低賃金と低廉な医療費という環境を利用して、従業員を搾取しているものがいる」と指摘し、米国におけるドイツ自動車メーカーと部品企業の組織化を促進するため、全米自動車労働組合(UAW)との共同事務所をテネシー州ナッシュビル近郊に設置し、UAWと共同で、テネシー州のフォルクスワーゲン(VW)、アラバマ州のメルセデス、サウスカロライナ州のBMW、また関連部品企業の従業員の賃金労働条件の改善に乗り出している。
 VWについては、UAWが昨年労働組合結成を試みたが、共和党が労働組合進出は企業投資を阻害するとして、強力な反対活動を展開したことから、組織化に僅差で失敗したが、UAWは熟練労働者165人のメンテナンス職場での労働組合結成を表明し、全国労働関係委員会(NLRB)への申請が承認され、12月初旬にその投票が実施される予定となっている。
 UAWの進出が、他の自動車メーカーの投資を阻害すると懸念する共和党は、今回のVWディーゼルエンジン不正問題を受けて、同社への補助金を審議する州議会聴聞会を開催したが、席上ある有力共和党上院議員は「VW社は、労働組合阻止に力を尽くしていない」と不満を述べ、特にテネシー州ハスラム知事(共和党)は「重大な不正事件が起きたこのような時期に、何故労働組合結成なのか。事態の収拾が先だ」として反対姿勢をとっているが、前回選挙ほどあからさまな反対活動は展開していない。
 これは、VW社が1400人労働者の12%という少数職場での労働組合結成は1社1労働組合の会社方針に反する、と反対しているためとみられている。

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大統領候補推薦をめぐる労働組合の動向

 2016年大統領選挙の候補者推薦をめぐって、労働組合の動きが活発化しており、最近では、アメリカ郵便労働組合(APWU)が、民主党のバーニー・サンダース上院議員の推薦を、また、建設労働者や公共サービス関連の従業員が加入するLIUNAは、同じく民主党のヒラリー・クリントン前国務長官支持を表明した。
 大統領候補推薦に関して注目される労働組合としては、全米教育協会(NEA)とアメリカン教員連合会(AFT)の2大教員組合が、ヒラリー・クリントン支持を決めているが、態度未決定の労働組合もまだ多く、サービス労働組合(SEIU)、全米食品商業労働組合(UFCW)、国際友愛電機労働組合(IBEW)、全米自動車労働組合(UAW)、アメリカ通信労働組合(CWA)、配管工の全米協会(UA)、などがある。
 また職能労働者の組織として、縫製・繊維・ホテル・レストラン労働組合(UNITE/HERE)、そしてトラック運転手の他に他職種に組織を広げているチームスター労働組合があるが、ここも未決定である。郵便業界では、上記APWUよりも大きな組織である全国郵便配達協会(NALC)も未決定であり、ナショナル・センターのAFL-CIOやチェンジ・トゥ・ウインも態度を決めていない。
 全米規模の産別労働組合の地域別組織には、独自の動きをするローカル組織があり、NEAバーモント州ローカルはサンダース支持、ニューハンプシャー州SEIUもサンダース支持を決めたが、中には共和党候補を推薦するところもある。
 こうした州別組織の中で注目されるのが、UNITE/HERE所属のネバダ州料理人労働組合で、ラスベガスで強力な政治力を持ち、候補指名の早期段階における同ローカルの影響力は大きい。
 活動面で活発なのはSEIUが筆頭に挙げられるが、戸別訪問などにより、強力な集票活動を展開する。しかし、一般的に見て労働組合の推薦には過去のような力はなく、投票には結びつかないケースが多い。
 10月に開催された民主党候補討論会では、保守色を争う共和党とは対照的に、米国労働者に不利益としてTPP反対を表明するクリントン氏に対し、サンダース氏は金融業界の富を大学無償化の財源とする考えを示すなど、マイノリティー(少数派)や、労働組合を重視するリベラル色の強い政策を競い合う展開となっている。

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