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No.352(2015/10/28)
ネパールで念願の新憲法発布

 9月16日,制憲議会において601の議員の内、507議員の圧倒的多数の賛成で新憲法草案が採択され、9月20日共和国憲法が発布された。2006年に王政が廃止された後、難しい政治情勢の中2008年制憲議会が開会された。しかしそれ以来、無政府状態が続き、内戦状態で多くの人命が失われた。新憲法は,国民主権に基づいて連邦民主共和制を採り,連邦・州(7州)・地方の三層構造を導入し,立法・行政・司法の三権分立,連邦議会2院制(下院(定数275)及び上院(定数59)),複数政党議会制(小選挙区選挙及び比例代表選挙の混合選挙により選出),司法制度(三審制)などが定められている。
 インド国境に近い新憲法反対派の地域では、インドによると見られる国境をブロックする動きがあり、インドからの物資が入らず燃料や生活物資の欠乏が起き、地震で傷ついた経済が更に悪化すると、ネパールの政治家がインドを非難した。和田正夫前JILAFネパールフィールドマネージャーからの報告によると、国連総会から帰国後、モディ政府は徐々にではあるが国境封鎖を解き、物資がネパールに入ってきているのこと。
 シャロンバローITUC書記長は、「長年の暴力闘争を超えてようやくネパールに民主的に選ばれた議員により民主的な憲法が制定された。ネパールの隣人も含め、世界はこれを祝福する時で、引き続き新しい政治体制を支援し、大地震の被害に対しても支援して行く必要がある」と語った。
 ネパールにおけるITUC加盟3組織であるNTUC 、ANTUF、GEGONTは憲法採択を歓迎し、9月4日に政府と協定した「復興への道」を実行して行く。
 シャロンバロー書記長は「ネパールの憲法は結社の自由の尊重、婦人の権利と発展をうたっている。この国の90%の人は農業やインフォーマルセクターで働いており、安全でより良い仕事による生活向上に道を開いた。また、毎年50万人の労働者が国外で働いており、低賃金で厳しい労働に従事していることを念頭に、政治レベルで国内経済を発展させ、国内で雇用が創出されるようネパールのために頑張らねばならない」と付け加えた。
 なお、10月13日議会でネパール第38代首相にK.Pシャルマ・オリ氏が選出された。彼は共産党党首で、選挙前の予想通りになった。予想外だったのは対抗馬の会議派党首スシールコイララ前首相が再度の立候補届けを提出、しかし結果は249票のみで、KPシャルマ・オリ氏に80票以上の大差をつけられた。

縫製労働者賃金に新たな希望

 インダストリオールグローバルユニオンは、世界的なブランド各社の代表者と共にサプライチェーン工場や労働組合、各国政府大臣と9月14日から18日のスイスILO本部で会合し、繊維衣料産業におけるリビングウエィジを実現すべくACTへの話し合いを持った。  
 ACT(Action, Collaboration, Transformation)とは、繊維衣料産業のサプライチェーン(主に途上国)でリビングウェイジを実現するため、世界的ブランド各社や大手小売各社と労働組合との間でのイニシアティブ(主導的行動)で、1企業だけでは実現困難なリビングウェイジを、産業レベルの団体交渉により実現を目指す新たな国際的な枠組である。
 インダストリオールは14の世界的なブランド各社や小売り大手各社と協力し、ACTの最初の取り組みとして5億米ドル(約600億円)規模に相当するカンボジア繊維衣料産業を取り上げることにした。
 インダストリオールとH&M、インディテックス、プライマーク、C&Aやトップショップなどのブランド代表者からなるACTの代表団は、カンボジアで地元サプライヤー、繊維衣料縫製関係の労働組合、労働省商務部、カンボジア衣服製造業者協会(GMAC)と一連の会議を持ち、ACTの具体的な内容を説明した。
 インダストリオールの政策担当者ジェニー・ホルドクロフトは、「産業レベルでの団体交渉は賃金レベルでの企業間の競争を除外し、業績のために賃金を引き下げるということは無くなる」、その結果「ブランド価値が維持され、工場では労働者により良い賃金が支払われる。また、より良い労働条件と生産性と効率性が産業レベルで実現される」と述べている。
 ACT代表団はILOや他の専門家グループとカンボジアにおける産業レベルの団体交渉の進展について技術的な議論を行った。

*1ドル=119.19円(2015年10月21日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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