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No.342(2015/9/17)
カザフスタンの労働事情

 7月10日に行われたユーラシアチームの労働事情を聴く会から、カザフスタン労働組合連合(FPRK)から報告のあった労働事情の概要を紹介する。

【雇用政策の成果で雇用創出となるが、インフォーマル問題は残る】
 現在、世界の経済情勢は非常に不安定な動きとなっているが、カザフスタンは優先課題を明確にして、その優先課題から解決に取り組むことで成果を上げてきた。その結果、毎年最低賃金や平均賃金が上昇し、また、年金、社会手当も増えている。労働市場では、労働人口、就業人口も増加し、最低生活費(108ドル=約1万3026円)以下で生活をしている人の割合は減少している。
 2014年の労働力人口は910万人で失業率は5%となっている。労働人口(就労人口)が860万人で、このうち雇用労働者は610万人。2014年の最低賃金は108ドル(約1万3026円)、1カ月の名目平均賃金は651ドル(約7万8517円)となっている。
 カザフスタン政府は、労働組合とともに「雇用ロードマップ2010」を作成し、現在実行されつつある。その目的は、安定・充実した雇用を創出することによって、国民の福祉、生活を向上していくことにある。このプログラムの対象者は自営業者、失業者、低所得者である。具体的には、まず職業訓練を行い、就職を斡旋していくことにあるが、自ら事業を起こし、あるいは今の事業を拡大する人の支援も行っている。また、経済的ポテンシャルのレベルが低い地域から比較的経済水準の高い地域への移住も支援している。
 自営業者が置かれている状況は、引き続き困難な状況にあり緊迫している。自営業者の数は260万人で、就業者の30%を超えている。しかし、残念ながら、社会保障や社会支援制度の対象外に置かれているのが現状である。また、我々は、こうしたインフォーマル経済の中で就業している人たちを、フォーマル経済に移行させることを、様々なレベルで提案してきた。
 このプログラムは2009年から実施されており、大変いい成果を上げている。このプログラムの実行によって失業率の上昇が抑えられ、逆にこの5年間で失業率は5%に低下した。
 また、経済的危機の時期に雇用を維持するために最も有効な手段は、使用者と結ぶ協定であると考えている。近年、6万件以上の労使協定が調印され、企業全体の38.6%がこの協定書を結んでいる。
 FPRKも相互協力に関する覚書を提案している。この目的は労働法をきちんと守ってもらうためにある。具体的には、生産が一時停止や労働時間が短縮された場合でも、労働法を遵守し、例えば、生産の中止による休暇(休業)中の労働者に対しては、賃金の50%以上を保障するというものである。
 カザフスタンでは、社会・経済分野のさまざまなプログラムが実施されている。2010年から2014年に、産業イノベーション強化プログラムを実施し、その結果、7万4000人の雇用が創出された。その後の2015年から2019年には2万9200人の雇用の創出が見込まれている。また、20万人の就職の機会を提供する新経済政策も策定された。
 本年は、FPRKの創設から110周年を迎える年である。この間、我々は活動の優先課題を決めながら、また国内の色々な変化やプロセスに応じた活動の形態を定めて取り組んできた。労働組合の運動を発展させるために、長期のコンセプトを策定した。また、新しい労働組合法が制定され、その法に基づき我々は、構造制度改革を実施している。この改革は、傘下の産別組織、地方組織、1万8000件以上の単組に及ぶものである。
 労働組合の近代化は非常に重要な課題となっており、産別組織を統合・拡大し、24の産別組織を17に統合する。組合員数は220万人となる。

*1ドル=120.61円(2015年9月15日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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