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No.338(2015/9/3)
スワジランドの労働運動が2015年AFL-CIO人権賞受賞者に決まる

 2015年のアメリカのAFL-CIO「ミーニー・カークランド人権賞」は、世界の最も独裁的な国家の一つであるといわれているスワジランド王国で、労働者の勇気と粘り強い権利獲得闘争に献身的な活動を展開している、スワジランド労働組合会議(TUCOSWA)を授与することになった。
 スワジランドは、南アフリカとモザンビークに囲まれ、1968年に英国保護領から独立した内陸国。人口は約124万人で、近年スワジランドの労働者が、さまざまな弾圧を受ける例が多発している。民主国家の道を歩み始めた隣国、南アフリカの労働運動の応援もあるといわれるが、当局の労働運動への介入が激しくなっている。スワジランドには、労働者保護の基本的な制度は存在し、労働裁判所や調停・仲裁機関があり政労使の対話も行われていた。ILOの中核的国際基準である8つの条約もすべて批准している。
 しかし、世界で最も不平等率が高い国の一つであり、貧困率は63%にも達している。その一方で王は莫大な個人資産を有し、世界で最も裕福な君主の1人でもあるともいわれている。
 政府の横暴に立ち向かうためには、労働運動の団結強化をすすめなければならないとして、スワジランド労働組合連盟(SFTU)、スワジランド労働同盟(SFL)、スワジランド教職員組合が2012年、組織統合してスワジランド労働組合会議(TUCOSWA)を結成した。しかし、政府は労働組合登録を認めていないため、TUCOSWAは、三者構成会議にも出席できないだけではなく、労働組合集会の開催もできない状況にある。ILOをはじめ各国からの圧力にもかかわらず、言論の自由は抑圧されている。
 米国のアフリカ成長機会法(AGOA)により、アメリカ市場への優遇アクセスの恩恵を受け、アパレル産業が成長していたが、政府の弾圧はAGOAの労働者権利適任標準に明らかに違反しているとして、2015年1月からAGOAの適用外となり、経済社会開発への影響が懸念されている。ITUCとAFL-CIOは実情調査団を派遣したが、調査団到着数日前に、スワジランド政府はTUCOSWAを公認すると発表した。結成から3年が経過していた。
 なお、「ミーニー・カークランド人権賞」は、エジプトの労働運動に新たな風を吹き込んだ、固定資産税局独立一般労働組合委員長のカマル・アフェイタ氏が、2010年に授与されている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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