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No.333(2015/8/18)
韓国最高裁 不法滞在労働者の組合設立を認める

 2015年6月25日、韓国大法院(最高裁判所)は、不法滞在外国人労働者にも労働組合を設立する権利と、労働組合に加入する権利があるとの初の判断を示した。外国人労働者労働組合(MTU)が、8年におよぶ法廷闘争で勝ち取った決定である。政府は、労働組合登録を認めないばかりか、労働組合幹部の逮捕や国外追放などの手段を講じて、外国人労働者組合を弾圧してきた。大法院の決定は、外国人労働者も「労働組合および労働関係調整法」の適用範囲であるというものである。国際労働組合総連合(ITUC)シャラン・バロウ書記長は、外国人労働者労働組合を承認しようとしなかった政府に対して、最高裁の判断は画期的であると評価した。
 外国人労働者労働組合のウダヤ・ライ委員長は、「われわれ外国人労働者にも労働組合を設立する権利がある。訴訟に8年以上もかかったのは、政府がわれわれの基本的な権利を認めようとしなかったためだ。団結してみんなで一緒に闘えば、われわれの意思が通ることがわかった。法的立場に関係なく、外国人労働者をもっともっと組織化して外国人労働者のために労働諸権利獲得のたたかいを継続していく。われわれの闘いに、支援と連帯を寄せられたすべての関係者に感謝をします。」と述べた。
 韓国政府が外国人労働者の労働組合設立を認めないことに対して、国際労働機関(ILO)結社の自由委員会もたびたび非難してきた。直近では2015年3月に出している。韓国大法院は、この決定に至るまでに、広範囲にわたって各国の関係法規を検討した結果、不法滞在外国人労働者の労働組合設立権利が国際的な基準であることがわかったとしている。韓国には2014年現在、約21万人の不法滞在者がおり、その多くは滞在期限が失効している人達であるという事実も法廷で明らかにされた。
 シャラン・バロウ書記長は、「韓国には国際労働基準違反の法規や慣行が少なくないが、この大法院の決定でその一つが排除された。弱い立場にある外国人労働者が、これからは労働組合をつくり、職場での権利を守り、生活改善のための活動を続けることができる。これは記念すべき勝利である。」と述べている。

韓国労働運動が政府をILOに提訴

 2015年6月27日、韓国労働組合総連盟(FKTU)と韓国民主労働組合総連盟(KCTU)の両ナショナルセンターは、労働組合の自主的な労使交渉権違反として韓国政府を国際労働機関(ILO)に共同提訴した。両ナショナルセンターの主張は「自主的な労使交渉によって結ばれた労働協約を違法で不適切と勝手に解釈し改訂するよう圧力をかけている」としている。これはILOが定めている労使の自主的な交渉などILOの基本的な労働組合権を侵害している」としている。
 2015年5月、雇用労働部が従業員100人以上の3000社の労働協約について調査した結果、リストラや配置転換、出向など労働組合の同意を必要としている協定は、使用者の経営権侵害の可能性があるとして、使用者に対し「違法で不適切な労働協約は訂正するよう」指導したとされる。この労働協約の改訂要請ついて、FKTUとKCTU は、政府が問題にしている労働協約は大法院(最高裁)がすでに有効と裁定していると主張。自主的な労使協定を改訂すべきという政府の主張は、憲法に保障されている基本的組合権の侵害であり、労使自治を無視し労使関係の調和を危険にさらすものであるとしている。
 この主張に対して労働雇用部は、問題とされている労使協定の変更を求めているのは、公平な交渉慣行確立の支援をして団体交渉の自主性を確保するものであり、雇用労働部の要請は、団体交渉制度確立を支援する政府の措置を許容しているILO条約に反しているものではない、と反論している。具体例として雇用労働部が指摘している点は、企業が新規採用に際して、現在の組合員ないし退職者の子弟を優先的に採用するという協定は、他の求職者の雇用機会均等権と職業選択の自由を侵すものであるとしている。人事・経営権に対する労働組合のいきすぎた規制は、漸進的な結果を生むことにはならないと雇用労働部は述べている。
 なお、韓国はILOの中核的労働基準とされる8つの条約のうち、「結社の自由及び団結権の保護に関する87号条約」「団結権及び団体交渉権についての原則に関する98号条約」「強制労働に関する29号条約」「強制労働の廃止に関する105号条約」の4条約は未批准であるが、未批准の場合でも「誠意をもって、憲章に従って、これらの条約の対象となっている基本的権利に関する原則を尊重する義務を有する」ことが確認されている。日本は105号条約と111号条約(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約)は未批准である。

韓国労使発展財団(KLF)ニュースより

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