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No.319(2015/6/18)
国際労働組合総連合(ITUC)がカタール・ワールドカップ競技場建築の過酷な労働条件を非難、改善を求める

 2022年のFIFAワールド・カップの開催地、カタールでの競技施設建設における労働条件について、国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロー事務局長は記者会見を開き、そこでの過酷な労働条件に歯止めをかけるようスポンサー企業に協力を呼びかけた。
 カタールをはじめとする湾岸諸国にみられるカファラ制度は、海外からの労働者を当該国のスポンサーが監視するシステムで、雇用主が労働者のパスポートを取り上げ、許可がなければ労働者は職を変えることも出国することもできず、現代の奴隷制度といわれている。
 事務局長は「カタールで働く現在の移民労働者140万人は、近い将来240万人になる。しかし労働者たちは8人から12人が一部屋で寝起きし、摂氏50度の炎熱化で労働を強制されている。世界で最も豊かなカタールが、奴隷国家として劣悪な労働条件に平然としている。また、国際オリンピック委員会の人権基準についてFIFA(国際サッカー連盟)は協議に応じていない。スポンサー企業はFIFAとカタールに対し、労働条件の改善、最低賃金の制定、結社の自由、そしてネパール労働者に行われている差別待遇の改善を迫って欲しい」と述べた。また、別の関係者は「FIFAの会長はサッカーが奴隷や差別、人権無視の道具にされているこの現状について語ろうとしない。この様な状況にあるワールド・カップへの企業支援は、石油の海洋流出を支援するようなものだ」と非難したが、英国のコリンズ議員も「FIFAはこの事実を黙認している」と指摘した。
 スポンサー企業にはマクドナルド、ビザ、コカコーラ、アディダス、バドワイザー、ガスプロム、起亜、現代自動車の名前が挙げられている。
 他方、カタールで移民労働者を取材しようとしたBBCの記者が逮捕され、2日後に釈放されたが、カタール政府は「政府と関係企業は労働条件の改善に取り組んでいる。BBCがこうした情報を正しく伝えられなかったことは遺憾だ」と声明した。この点でFIFAは「報道の自由は尊重されねばならない。しかし撮影にはホスト国の許可を得る必要がある」と述べた。
 ITUCは2013年10月にも、カタールにおけるこうした事態を予期してFIFAに書簡を送り、労働条件の改善を要請した。加えて、人権団体のアムネスティ・インターナショナルもカタールにおける劣悪な労働条件について強い批判を繰り返している。
 なお、5月27日にはFIFAの副会長以下多数の幹部が多額の収賄の疑いで逮捕され、開催地および企業との黒い結び付きが表面化し、6月2日にはブラッター会長が辞意を表明するに至っている。

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ウォルマートが労働組合結成を嫌い店舗閉鎖

 ウォルマートは労働組合結成の動きが出ていたカリフォルニア州の店舗を含む5店舗を突然閉鎖したが、これに対し全米食品商業労働組合(UFCW)は、全国労働関係委員会(NLRB)に訴状を提出して現在審理中である。
 そうした中で同社は5月15日に、同店舗を含むフロリダやテキサスなど5店舗の閉鎖は改装、とくに下水の工事を実施するためと説明して6カ月以内の再開を発表したが、通常下水道工事に6カ月かかることはなく、UFCWは他の4店舗は偽装をカバーするものだとしている。
 一方、同社は通常は支払われないパートタイマーへの退職金を、対象者2200人に支給するとして、「今回の特別な一時的店舗閉鎖という事情に鑑み、特別手当を支給することにした。また異動希望者については半数を異動させた」と説明したが、UFCWは労働組合結成に携わった人たちが異動名簿から除外されていることを指摘して同社を非難、該当者の救済命令と復職を求めている。
 米国最大の小売企業のウォルマートは、その低価格方針を維持するために、労務費を含めたコスト削減に厳しく、従来から各地における労働組合結成の動きを潰してきた事例が目立つ。

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