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No.313(2015/5/12)
米自動車業界の賃上げ動向

 全米自動車労働組合(UAW―13万7000人)は、今年9月に米大手自動車メーカー3社との協約改訂を迎えるが、米新車販売は08年の金融危機前の水準に戻し、主力工場はフル稼働に入っており、過去最高に近い1700万台が予測されている。リーマンショック後、2009年に1040万台に落ち込んだが、急速な回復を見せており、賃上げ要求を決める見通しだ。
 UAWの賃金は、2007年から新入組合員対象の15ドル(約1800円)と、従来組合員向けの28ドル(約3359円)の2重格差賃金が採用されているが、組合員からはその格差賃金の解消と賃上げを要求する声が強い。賃上げが2007年以来凍結されている中で、ボーナスが支給されてきたが、これからの保証はない。
 ウィリアムズ会長は「困難な時期を乗り越えた成果が還元されねばならない。格差解消と賃上げの両立は誠に難しいが、方策を考えたい。メキシコなどの低賃金に押されて、GMの一部に3重格差賃金が生まれており、止めさせなければならない」と述べた。
 人材確保のため、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、賃上げに柔軟な姿勢をみせている。
 デトロイト3社は海外メーカーに対抗するため、労務費削減には極めて敏感だが、ミシガン州アナーバーの自動車調査センターの報告では、賃金と諸手当を加えた時給総額の比較で、メルセデス・ベンツが65ドル(約7799円)、GM58ドル(約6959円)、フォード57ドル(約6839円)、ホンダ49ドル(約5879円)、クライスラー・トヨタが48ドル(約5759円)、以下日産、ヒュンダイ、BMWと続き、フォルクスワーゲンが38ドル(約4559円)となっている。

*1ドル=119.98円(2015年5月8日現在)

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米教職員労働組合が、大統領候補者に公立学校の教育政策を問う質問状

 米国最大の教職員労働組合、全国教育協会(NEA―300万人)が2016年の大統領選挙候補者に対し、公立学校の教育政策を問う方針である。
 2016年に実施される米大統領選挙には、与党・民主党の本命とみられているヒラリー・クリントン氏が立候補を表明し、野党・共和党からはテッド・クルーズ上院議員、ランド・ポール氏に加え、マルコ・ルビオ上院議員が立候補を表明し、さらにブッシュ前大統領の弟のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事や、ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事らも立候補を検討しており、8年ぶりのホワイトハウス奪還を目指す共和党の指名争いに向けた動きが激しくなっている。
 NEAは米国人100人に対し1人という大きな比重を持つ労働組合だが、立候補を噂されている19候補者にアンケートを送付した。NEAは、そのため大統領予備選挙が行われる各地空港に大きな掲示板を立てて、注意喚起を促す。NEAの主要課題には教員実績を評価する標準テストの実施反対、増え続ける貧困家庭児童に対する予算増額がある。
 しかし、共和党候補者の多くは、NEAが教育を悪化させたと非難している。中でもジェフ・ブッシュ氏は、フロリダ州知事時代に度々教員組合と衝突したが、「現在の公立学校制度は労働組合化し、政治化された官営の独占事業だ。良質の教師や行政担当者、生徒たちを抜け出せない罠にはめている」とまで酷評した。
 教育は、しばしば選挙の重要課題にはなるが、大統領選挙でトップ課題となったことはない。オバマ政権では、特に算数・英語の学力向上とその評価が議論になったことがあるが、おおむね公立学校は地方行政の問題であった。2008年の大統領選では、ビル・ゲーツ財団が2500万ドル(約29億9995万円)を投じて教育問題に焦点を当てようとしたが、候補者は教育課題についての表明をリップ・サービスにとどめた。しかし、今回NEAは「資金力はないが、300万人教師の力を動員して、生徒一人一人の声を政治に届ける」とその決意を述べている。

*1ドル=119.98円(2015年5月8日現在)

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