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No.311(2015/4/27)
ベトナムで社会保険法改正に反対し9万人がスト

 ベトナムでは、改正社会保険法が2014年11月20日可決され、2016年1月1日に施行されるが、現行の社会保険法第55条で、定年前の退職者についても退職一時金による年金の精算を認めているのに対し、改正社会保険法第60条では、定年年齢(女性55歳、男性60歳)に達して初めて清算される。
 年金精算を定年にまで延ばすことは、出身地に帰って生活できるだけの資金を稼いで、定年前に帰省する出稼ぎ労働者にとって不都合となり、ホーチーミン市のナイキ、アディダス等ブランドを生産する台湾系企業で3月末、1週間にわたり9万人がストライキを実施した(注1)。
 改正社会保険法によると、年金は20年間の積立が原則で、20年を下回る場合は一時金払いとなり、退職時に支給されることになる。ベトナムでは繊維産業や電子産業に働く出稼ぎ労働者の多くは週に50~60時間の長時間労働、20年という積立期間満了まで働くことはなく、それ以前に充分な生活費を稼いで故郷に帰省するのが実態だ。また将来にわたって年金が受給できるのかどうか、社会保障基金に対する不信もある。
 こうした背景から、大規模なストライキが工場内で整然とうたれ、デモ行進も高速道路に沿って行われた。ドアン・マウ・ディエップ労働副大臣は、定年前でも退職時に受給可能とするか、定年後に給付を受けるか、労働者が一時金の支給時期を選択できるよう、国会で改正することを示唆し、4月2日にストは終結した。
 インダストリオール書記長のユリキ氏は、「ストライキは終結されたが、社会保障制度に関して社会的対話が必要で、このストライキは、政府、雇用者、労働組合にとって強い警告シグナルで、労働者はより良い生活、公平な扱いを望んでいる。インダストリオールはベトナムの労働組合が望むかぎり、労働者を守るための強力な団体交渉のための教育訓練を続けてゆく」と述べた。

(注1)労働組合が指導したストライキでなく、いわゆる山猫スト。
ベトナム労働法では、50%超の労働者の賛成意見をもって、ストライキ開始前の5営業日前までにストライキの決定書を雇用者に送付し、同時に省レベルの国家管理機関と、省レベルの労働団体に送付しなければならない。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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