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No.310(2015/4/21)
労働組合承認投票迅速化法、本格実施へ

 オバマ政権は、ブッシュ政権時代に結果的に賃金の低下を招いた法令や、労働組合からの申し立て手続きが複雑なために労働者に不利となっている法令などの改善を進めている。 
 その一環として、全国労働関係委員会(NLRB)は、昨年12月に労働組合承認選挙の迅速化法案を採択したが、共和党優位の米国上院・下院議会は、この法案を否決した。
 これに対しオバマ大統領は拒否権を発動し、上院の賛成投票は大統領拒否権を覆す3分の2に届いていないため、法案は4月14日から実施されることになった。
 法案の背景には、労働組合結成に際し使用者がいたずらに訴訟に訴えて時間を遅らせたり、その間に工場閉鎖などを示唆したりして組合結成を妨害する不当労働行為が数多く報告されてきた問題がある。
 この法案成立で、インターネットによる申請や書類を受け付け、従業員と使用者、労働組合は共に必要な情報の提供を適時に受ける、不必要な法的手続きや重複作業を排除するなど、労働組合承認投票の申請から投票までの日数が、平均38日から11日程度に短縮されると言われている。

アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)がTPP交渉における大統領ファストトラック権限の付与に反対

 米国、日本など環太平洋の12カ国を巻き込むTPP交渉について、アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)のトラムカ会長は、米国大統領が外国政府と合意した協定について、ファストトラック(議会は修正せず、採否のみを決定)の付与に強い反対を表明した。オバマ政権は現在、ファストトラック権限なしでTPP協議に参加しているが、最終的なTPP合意には議会のファストトラックでの批准が必要となるのはほぼ間違いないといわれている。
 会長は「TPPは労働者の生活に劇的な影響を与え、賃金と雇用を低下させる危険がある。これはビル・クリントン大統領が結んだメキシコ・カナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)で経験済みだ。クリントンに対する批判は今でも強い。大統領に貿易促進権限を与えることに強く反対する。労働者が民主党を支持していけるかどうかの問題だ」とまで言明した。
 AFL-CIOはかねてから1990年代に締結されたNAFTAによる雇用の喪失に強い危機感を表明しており、それが今でも解消されていない。TPP交渉についての賛否は明確にしていないが、外国政府との合意内容を、議会は採否のみを一括審議するファストトラックには強い反対を表明した。
 政府は、TPP交渉を進めるためには、大統領と相手国との信頼関係構築が必要であり、「TPP協定は関税の低減、知的財産の保護、国や各企業間の各種紛争の調停、労働や環境基準などに新ルールを設定し、米国の利益につながる。交渉促進のためにファストトラック権限が必要だ」と説明しているが、通常の法案審議とは違って、賛成する共和党と反対が多い民主党との間に意見の食い違いが大きく、審議は中断している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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