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No.306(2015/3/30)
アジア労働法学会・東京大会開かれる
~各国の労働法と労使関係の特徴と課題を討議~

 3月6日から7日まで、東京の青山学院大学で、「アジア労働法の特徴を探る」を基本テーマに、「アジア労働法学会」の第5回・東京大会が開催された。大会には、14のアジアの国と地域から22人の研究者等が参加、日本からの出席者と合わせて約50人が参加し、各国からの報告と熱心な討論が行なわれた。今回はラオスから初めての参加が見られた。
 大会は、冒頭、日本労働研究・研修機構(JIL-PT)の菅野理事長による「日本の労働法の特徴」と題するキーノート・スピーチがあり、その後、2日間にわたり、[1]有期労働契約、[2]労使紛争処理制度、[2]各国の労働法制の動向の3つの個別テーマによる発表と討論が行なわれた。また、むすびに「アジアにおける労働法教育」について、シンポジウム形式の討論があった。なお、閉会に先立ち、新会長に中国・上海師範大学の劉教授(現副会長)が選任され、次回大会を二年以内にベトナムあるいはタイで開催することが確認された。
 大会の3つの個別テーマでは、それぞれに各国の最新情勢を踏まえた研究発表が見られた。「有期労働契約」では、韓国の非正規労働者に関する法制度の動向、インドネシアのアウトソーシングと派遣労働、フィリピンのコールセンターなどのBPO労働(Business Process Outsourcing Work)についての研究などが注目された。労使紛争処理制度では、ベトナムの2012年改正労働法の運用が報告され、また、日本の金属産業の進出先での労使関係について、若松JCM顧問より報告が行なわれた。
 各国の労働法制の動向では、タイの軍事政権下での労働法制改正の検討状況、シンガポールの産業別最低賃金制度、ラオスで昨年施行された改正労働法の運用状況などが関心を集めた。また、モンゴルで本年予定される労働法典改正の動向について、JILAFの熊谷アドバイザーが報告した。労働法教育についてのシンポジウムでは、各国の状況のほか、北海道大学の道幸名誉教授が、日本の「ワークルール検定」などを紹介し、意見交換が行なわれた。
 「アジア労働法学会」は、2008年に、アジア各国の労働法研究者、実務家による学会として発足したもので、これまで、クアラルンプール(2008年)、マニラ(2009年)、台北(2010年)、北京(2012年)で開催されている。なお、アジアの労働法研究者の会合としては、世界レベルの労働法関係学会に相当する「国際労働法社会保障法協会」が1980年に「アジア地域会議」を設置しているが、2005年の台北での会合以降は開催がなく、「アジア労働法学会」がそれを補うかたちとなっている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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