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No.299(2015/3/4)
米国労働組合員数微増も組織率は依然として低下

 2014年の米国の労働組合組織率が発表になった。それによると2014年の組合員数は民間で4万1000人、公務員で8000人増加し、それぞれ740万人、720万人を数えたが、全体の組織率では依然として低下傾向に歯止めがかからず、前年の11.3%から11.1%に下がった。
 公務員の組織率は36%、民間は7%であったが、地方公務員、とりわけ教員、警官、消防士の組織率が41.6%と高くなっている。
 組織率を州別にみると労働の権利法(労働協約の適用を受けていても組合費や労働組合加入は労働者の自由意思とする法律)を採用したミシガン州が、16.3%から14.5%へと急落した。組織率の高いのはニューヨーク州の24.6%、アラスカ州の22.8%、ハワイ州の21.8%が続く。最低は南部ノースカロライナ州の1.9%、サウスカロライナ州の2.2%、ミシシッピ州3.7%と南部で低く、西部のユタ州も3.7%と低い。
 人種別には黒人が13.2%、白人が10.8%、アジア系が10.4%、ヒスパニックが9.2%となっている。
 米経済政策研究所(EPI)は、米国中位家計の60%は、1968年には国民所得の53.2%を稼いでいたが、この割合は2012年には45.7%に下落した。同期間に全国水準の労働組合の組織率は28.3%から11.3%に下がった。反面、CEOの年俸は1965年から2013年までの間に、一般労働者の賃金の296倍以上へ増大し、多くの所得と富を持つものが、政治権力を行使して、ますます富み格差拡大を招いていると明言している。

警官2人の射殺事件にニューヨーク市警察労働組合の怒り

 ミズーリ州における、警官による黒人青年射殺事件により、全米に警察批判が高まる中、今度は12月20日にニューヨーク市の警察官2人が黒人により射殺された。
 実行犯のイズマイル・ブリンズリーは、過去に19回の逮捕歴があり、警官の射殺直前に、ボルティモア郊外のアパート前で、元交際相手を銃撃していた。
 こうした中で、黒人側に好意的は発言を行なった、ニューヨーク市デブラシオ市長(民主党)に対して、ニューヨークの警官から批判が高まっており、警官の葬儀に参列した市長に対して多くの警官が背中を向ける抗議を行なったほか、ニューヨーク市警の学校卒業式でも多くのブーイングを浴びた。
 こうした中で、クオモ州知事(民主党)の仲介により、市長とニューヨーク市警察官5労組の代表数人が会談を持ったが、警官に規律を要求しながら、警官の生命をどう守るのかに具体的な結論は出ておらず、警官側の不信は払拭できていない。
 議題には、警官の教育訓練のほかに警備車両の防弾ガラス装着、公務執行妨害への刑罰強化などが挙げられたようだ。警官労働組合の側には、市長の発言と態度が反警察的な雰囲気を醸成したとの感覚が強く、それに対する謝罪もないことから、市行政への不信感が高まっている。

全米トラック運転手組合(チームスターズ)への政府による監視措置が終了

 米国の司法省は、全米トラック運転手組合(チームスターズ、組合員140万人)の度重なる労働組合基金の横領や、汚職事件を重大視して、1989年から25年間にわたり監視措置を実施してきたが、それが終了することになった。
 この点について政府は「チームスターズに存在したマフィアなどの暴力団との関係や汚職腐敗が大きく一掃できた。これからは労働組合自身の規律と選挙によって正常化に進む」と言明し、1999年から現職についたジェイムス・ホッファ会長も「会長就任時から念願とした腐敗汚職が一掃できた。暴力団の存在は決して許さない」と述べた。
 現会長はジミー・ホッファ前会長の息子であるが、ジミーは在任中に度々マフィアとの関係が指摘され、米国議会でも問題視されたが、1975年に突然失踪して、1982年に死亡認定されている。ジミーは当時マフィア幹部と会合するため、デトロイト北部のレストランに立ち寄ったあと誘拐されたとされ、ある証言ではジミーは殺害されて遺体はコンクリートミキサーにかけられ野球スタジアムのコンクリートに埋められた、また、車ごと圧縮機械に放り込まれたとも言われている。

過去の関連記事.
No.186(2013/7/23) メルマガ http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/186.html

富める1%、取り残される99%

 第2次大戦中の1942年、英国オックスフォードで設立され、貧困対策に取り組む著名な国際機関、オックスファム(OXFAM)は、その報告で、世界トップの富豪80人が保有する富が、貧困層35億人の持つ金額と同額に達し、来年にはトップ1%の富豪が総資産の50%を超えて99%の人たちを上回る結果、所得・資産格差の拡大が社会不安を増幅するだけでなく経済成長をも危うくするとして警告を出した。
 トップ10はウォーレン・バフェット(米)、マイケル・ブルームバーグ(米)、カール・アイカーン(米)、アルワヒード王子(サウジアラビア)、アビゲイル・ジョンソン(米)ジョージ・ソロス(米)、ジョセフ・サフラ(ブラジル)、ルイス・カルロス・サルミエント(コロンビア)、ミハイル・プロホロフ(露)、アレクセイ・モルダショフ(露)の各氏であり、金額的には1位が580億ドル(約6兆9501億円)、10位が100億ドル(約1兆1983円)である。
 また1%に入る人たちは1645人を数えるが、多くが50歳以上の男性で、そのうち3分の1が遺産相続によるものであり、また30%が米国市民、そして多くが金融や保険、医薬品や医療産業からの収益で資産を増やしている。
 こうした富の偏在がもたらす危険性については、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)も警鐘を鳴らしており、オバマ大統領も今年の年頭教書でその点を指摘しつつ、今後10年間にキャピタル・ゲイン課税により3200億ドル(約38兆3456億円)を捻出して、中産階級への減税に当てる提案をしたが、共和党多数の議会での承認の可能性は低い。

*1ドル=119.26円(2015年3月2日現在)

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