バックナンバー

No.294(2015/2/4)
オバマ命令の保護による不法移民の組織化に労働組合が意欲

 2014年11月、オバマ大統領は上院下院ともに共和党多数という状況のなか、1100万人に上るとみられる不法移民のうち、米国生まれの子供を持つ両親、5年以上在住の不法移民などを対象に3年更新の滞在ビザを発給する大統領令を発動し、400万人以上がその恩恵を受けることになる。
 オバマ大統領は、議会の承認を経ずに大統領権限による数十年ぶりの行政命令を盾にして政策を貫こうとしているが、不法移民の滞在問題については民主党、共和党を問わずに賛・否両論に分かれている。ブッシュ前大統領が賛成するのに対し、共和党右派だけではなく、労働組合の中にも低賃金を誘発するなどとして反対が強い。
 新制度では、審査に合格した移民が税金を払うことを条件に3年間の滞在を認めるが、市民権の獲得にはつながらず、政府の福利厚生や医療保険の対象にもならない。
 救済の対象となるのは、米国の市民権または永住権を持つ子どもがいて、5年以上米国に住んでいる不法移民約400万人。また、子どもの時に米国に連れて来られた不法移民を対象とする制度の、年齢の上限を撤廃することにより、さらに数千人を救済する。
 しかし、今回の大統領令は、摘発を恐れて労働組合加入をためらっている多くの不法移民に労働組合加入の可能性を開くことから、サービス労働組合(SEIU)などの労働組合は、積極的にその組織化に動き出した。SEIUは清掃作業員など200万人の組合員を持つ労働組合だが、滞在手続きの解説ウェブサイトを開き、アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)も不法移民の組織化担当オルグの養成に着手、食品商業労働組合(UFCW)などの労働組合も、コミュニティ・グループや教会などと協力して移民に手を差し伸べている。
 組合員の減少傾向についてはその歯止めがかからず、過去10年間、組織率は12.9%から11.3%へと低下し120万人を失い、1330万人に減少したが、2050年には50%を超えるとみられる白人以外の人種、とりわけ劣悪な労働条件のもとで働き、労働組合の保護を必要とする南米系などの移民の存在と組織化は、大きな課題となっている。
 こうした不法移民は、書類審査の厳格な大企業を避け、日当が稼げて労働組合のない零細企業に働くものが多く、組織化には大きな困難が伴う。またビザの更新期間が3年間であり、次の大統領による方針変更を危惧する声も根強い。地域的にも違いがあり、伝統的に移民に好意的なロサンジェルスなどの地域に集まる傾向もある。
 新制度は2015年春から段階的に導入される予定だ。

過去の関連記事
メルマガNo.235(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/235.html
メルマガNo.170(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/170.html

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.