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No.293(2015/1/29)
セネガルの労働事情

 2014年11月14日に行われたアフリカチームの労働事情を聴く会で、セネガルから報告された労働事情について紹介する。セネガル全国労働組合同盟(CNTS)から1人が参加した。

【97%の労働者がインフォーマルセクター、組織化と教育訓練が最重点】
 労働組合が労働者の生活条件の改善に向けた運動を進めることが、貧困をなくすための唯一の手段である。このため、インフォーマルセクターの組織化にも力を入れている。
 セネガルの労働事情について、世界銀行の報告書に基づいて説明をすると、セネガルの労働力人口の27.5%、約100万人が失業や就職難の状況に置かれている。また、セネガルで創出される雇用の97%は、インフォーマルセクターにおける雇用である。同報告書によれば、セネガルでは、毎年10万人が就職するものの、そのうちの9万4000人がインフォーマルセクターの仕事に就いているとしている。インフォーマルセクターで働くほとんどの労働者は、彼らが好んで選択したものではない。また、インフォーマルセクター労働者の半分以上が学校に通ったことがない実態にある。セネガルの就労者のうち、高等教育を受けた人は全体の5%にすぎない。このような状況を打開するため、生産性の向上をはかりつつ、賃金の引き上げで生活の向上がはかられるようにする必要がある。そのためには、労働者の教育・訓練により必要な専門技能を身につけさせることが必要であり、労働者の教育・訓練に力を入れるようセネガル政府に求めている。また、こうした教育・訓練は企業のニーズとも合致するはずであるとも指摘している。
 特に若者が就職難に直面しており、失業者の60%が35歳未満である。こうした厳しい雇用情勢を改善すべく、世界銀行は、職業安定所の強化をはじめとする必要な雇用政策を実施するよう政府に求めている。
 我々は、インフォーマルセクターで働く労働者の組織化をはじめ、決定機関への女性の参加、若者の組合員化を掲げて運動を進めている。セネガルでは、組合活動に関する労働者の既得権を見直そうという動きがあることから、これに対抗していく必要がある。
 定年を55歳から60歳へ引き上げることは、セネガルの労働組合が昔から掲げている要求である。年金制度の財政バランスを保つためには、60歳定年は避けて通れない最も重要なことである。セネガル政府は、実現に向けて強い意欲を示してはいるが、経営者たちは賛同せず55歳で引退させようとしている。その方法は、重筋労働は55歳定年となっているため、経営者は、重筋労働でない者も重筋労働者であるとして早期に引退させようとしている。
 われわれが、活動の重点に置いているのが、貧困の救済、ディーセントワークの実現であり、その実現に向けて力を結集させることが必要である。そのために、インフォーマルセクターで働く労働者の組織化に取り組んできた。若者の雇用を促進するため、パン屋の従業員や染物業の従業員の協同組合設立の支援、農業と再生エネルギー関連のプロジェクトも実施している。

【政府との対話による社会保障強化の取り組み】
 我々は、セネガルからヨーロッパに出て仕事をする移民労働者の権利保護にも熱心に取り組んできた。セネガルからの移民労働者は、様々な国で少なくとも100万人を超える人々が働いている。また、社会保障も強化しており、60歳以上の医療費の無料化、5歳以下の子どもの医療費の無料化も実現した。
 我々と政府は正常な関係を築いており、政府にとって大変重要な対話の相手となっている。海外からの投資を増加させるためにも、社会的安定と経済活性化のための全国協定が重要であり、その協定を結ぶために取り組んでいる。こうした取り組みで、セネガルの社会を鎮静化させるための条件が整った。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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