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No.279(2014/11/25)
スリランカの労働事情

 10月24日に行なわれたアジア・太平洋チームの労働事情を聴く会から、スリランカの労働事情について報告する。セイロン労働者会議(CWC)とスリランカ全国労働組合連盟(NTUF)から各1人が参加した。

【経済好調が続く中で、問題もある農園の移民労働者】
 スリランカの総人口は2050万人で、このうち労働人口が840万人となっている。2009年に26年にわたる内戦が終結したスリランカ経済は順調に拡大し、6~8%台の成長が4年続いた。1人当たり名目GDPも3200ドル(約37万5104円)となった。こうした背景から、雇用機会も拡大し失業率も4%程度と低水準にある。主な産業の構成は、農業部門が26.4%、産業部門27.8%、サービス部門45.7と%となっている。
 労働人口の3分の1がフォーマルセクター、3分の2がインフォーマルセクターに属している。インフォーマルセクターとは、農業就業者、小規模商人、契約労働者、家政婦、移住労働者、季節労働者、外部委託労働者などを指している。スリランカでは、インフォーマルセクターの比重がかなり大きいが、今、大きな問題となっているのが業務委託というものである。業務委託では賃金が低いだけではなく、正社員に支給される手当も非常に低いという実態にある。過去10年、20年の間、全く賃金の改善が見られないため、労働組合は改善に向けた取り組みに力を入れている。
 働く女性(母性)を保護するための規定もあるが、これはフォーマルセクターを対象としたものであり、インフォーマルセクターは除外されている。職場における母性保護については、公務員は、賃金の3カ月分の手当が支給されるとともに、無給で3カ月の休暇が与えられる。プランテーション、民間企業では、基本的には、3カ月分の賃金を支給するのみというところが多い。

【深刻な住宅問題を抱える国有部門労働者】
 国有部門の賃金は、財務省と内務省によって決定される。また、民間部門の賃金決定は労働協約によることが第一であるが、銀行、商取引、サービス、プランテーション等の産業別に44の賃金委員会が設置されており、この賃金委員会で基本的な規定を定めている。
 賃金委員会は、政府、労働者、使用者の代表によって構成され、審議される。賃金委員会では、労働協約で決められた内容などを考慮しながら最低賃金を設定している。また、最低賃金だけではなく、労働協約で定められているそのほかの労働条件についても、労働協約を参考に審議する。
 大規模なプランテーションでは、プランテーション側6人と、労働組合代表でつくっている委員会で労働協約について協議(交渉)を行ない、合意された内容は組織化されたすべてのプランテーションに適用される。プランテーションの委員会の労働組合代表は、組合員の多い順に上位3組合が選ばれている。しかし問題もあり、大規模プランテーションは、このスキームに入っているが、小さなプラテーションでは、我々が決めた労働協約ではなく、最低賃金が適用される。
 プランテーションでは、住宅に関する問題に直面している。プランテーションで働く労働者は、250年ほど前にインドから来た移民が多い。こうした労働者には、全く土地が与えられていない。こうした労働者はプランテーション内に住んではいるものの、正式な住所が無いということになる。我々は、1~2年の間に正式な住所登録ができるよう闘っている。
 2003年に移民労働者に対してスリランカの市民権が取得できるようになり、参政権もあるが、250家族ほどが同じプランテーションの中で住んでいるため、住所は農園の住所となる。郵便物はすべて農園に届き、そこから、250家族のうちのどこかの家族に届くことになる。総人口のうちの6%程度がこうした農園出身あるいは、農園に携わっている人々である。

*1ドル=117.22円(2014年11月19日現在)

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